ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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シーズン最終盤、根尾はどこへ向かうのか?!

●0-6DeNA(17回戦:横浜スタジアム)

 降りしきる大雨の中、甘く入った150キロのストレートをオースティンに完璧に捉えられ、背番号7は投げ終えた身体を打球の飛んだ方へ向け、その行方をただ眺めていた。

 

残り試合、根尾の今後はどうあるべきか

 根尾昂がウエスタン・リーグで「投手デビュー」を果たしてから4ヶ月。華々しい1軍投手デビューを経て、もがき苦しんでいる。

 ピッチャーとしての実力が不足しているという訳ではない。これまで上手くいっていた歯車が噛み合わなくなり、その軋轢が大きくなって今に至っている。そこに輪をかけて夏場の疲労が根尾を襲っているという構図だ。

 それがシーズン途中の投手転向となればコンディションを保つことは容易ではない。直近5登板で失点は3回(うち1度はサヨナラ負けとなるタイムリーを打たれている)となり、8月に入るまでは1点台(1.74)だった防御率も、今日の時点でついに4点台(4.19)へと跳ね上がった。与四死球も7月までの12登板でわずか2つだったのが、8月の7登板で9つと、制球が乱れていることも大きな原因でもありそうだ。

 

 こうなってくると根尾を1軍に置いておくべきなのか、2軍で再調整すべきでは、という声も大きくなってきている。明らかに状態が悪くなっている投手を使い続けることがチームにとってプラスに作用せず、他に状態の良い投手を上げてブルペン陣を強化すべきポイントでもあるかもしれない。

 

今の根尾の役割をおさらいすると

 立浪監督をはじめとする首脳陣も、一時期は勝ちパターンでの起用も目論んでいたがさすがに今のままでは使うことは難しいだろう。

 

 現在の根尾の仕事場はビハインドでの登板、8月になってからイニングまたぎも解禁され、複数イニング投げるようになってから状態が悪くなっている。

 以上のことを考えると、この暑い時期にイニングまたぎをさせていることが根尾のコンディションを悪くしているのかもしれないが、8月のブルペン陣のことを考えると致し方ない部分は幾許かあったようにも思える。

 他にビハインドで登板していたのは森博人、谷元圭介、藤嶋健人の3人。だが、勝ちパターンで奮闘していた清水達也がコロナウイルス陽性判定を受け離脱したことで、清水の役割を谷元が担うことになり、谷元の位置に藤嶋が入るようになった。

 便利屋として起用されてきた藤嶋の序列が上がったことで、根尾に「複数イニングを処理する」タスクが追加された。そこで根尾は苦しいピッチングが続くことになっている。

 

 直近での失点は全て登板した1イニング目に取られているものの、またいだ2イニング目は無失点に抑えている。複数イニングを投げることを目的とされている投手が、2イニング目をゼロに抑えて(つまり、余分に投手を使わずに)試合を完了させられれば、その仕事に対して一定の評価は下されるべきである

 苦しいブルペン陣を助けているという意味では根尾は間違いなく1軍の戦力として役割を全うした証左にもなる。果たしてその役割を2軍からコールアップする選手が同じようにできるかというと、またそれは別の話にもなってくる。

 

森の2イニングに込められた意味

 ところで今日、森が2イニングを無失点に抑えた。6月末に再昇格後初のイニングまたぎで、無失点登板はこれで14試合連続に伸びた。もし今カードから森と根尾のタスクが逆になり、かつ清水の戦列復帰で8月頭の序列に全員戻るとするならば、根尾の再調整も可能になってくることだろう。

 

 ただし、それは根尾にとって残り試合での1軍登板のチャンスの目が遠のくことにもなる。仮にカードが変わる9月2日のヤクルト戦のタイミングで抹消されたとしても、再昇格は最短9月12日となる。

 カレンダー表を見ると、9/6~の6連戦でアピールができれば9/13に間に合いそうだが、見送りとなると次の昇格チャンスは9/16以降となりそうだ。オリックス戦で投げて結果を残していることが前提になるので、9/18以降になることも予想される。

 同じように考えていくと、さらに見送られた場合はかろうじてホーム最終カードに間に合うかどうか、といったところになる。また、ウエスタンは様々な形で試合中止のケースが増えてきている。そのリスクを負ってでも根尾に2軍調整させるべきなのかというところまで考えていくと、私は複数イニングの役割を森、藤嶋に任せ、根尾は再び1イニング限定の起用に戻して、シーズン終了まで1軍帯同させても良いのではないかというようにも思った。

 

 じっくりと身体をメンテナンスしながら、自分の強みを改めて見つめ直し、1イニング限定で最大出力を発揮することが、今の立ち位置を再認識できるのではないかと思っている。また、ここから先1軍昇格を目指す若手選手中心の相手よりも、順位争いが激しいトップレベルの選手に対峙したほうが抑えても打たれても経験になると思う。

 

 そういった意味で、私は根尾の「最後のひと踏ん張り」に期待を込めたいと思う。

 

yuya (@yuya51) | Twitter