ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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哀しきワンサイドゲーム〜負け癖に打ち勝つために

●0-6DeNA(17回戦:横浜スタジアム)

 降りしきる大粒の雨。もしこれがシーズン序盤であれば間違いなく試合中止か、降雨ノーゲームになっていただろう。今となっては、できればそうなって欲しかったと溜め息を吐くことしかできない。

 今季まだ3勝しかしていないDeNA戦だが、内容を見ても紙一重ではなく一方的にやられるゲームが目立つ。決して偶然ではなく、必然であることを数字が雄弁に物語る。38得点に対して61失点、6本塁打に対して13被本塁打、端的に攻撃力を示すチームOPSは.543と、野手、投手ともにこのカードでは極端に弱体化してしまうのだ。

 DeNAといえば本拠地17連勝という信じられないような快進撃で首位争いに殴り込みをかけたのも束の間、肝心のヤクルトとの直接対決では見るも無惨な3タテを食らい、“反撃” どころか返り討ちに遭ったばかりの身の上である。そうした状況だけに、今度ばかりはドラゴンズに分があるのではと期待したのだが、期待した私が馬鹿でしたと言わざるを得ないワンサイドゲームとなった。

「雨で投げにくそうで松葉がカワイソウだった!」と主張したくても、それを言ったら今永も同じだしなあ……と。言い訳すらも塞がれてしまっては、もはやお手上げの横浜たそがれである。

 2回裏の無死二、三塁をゼロで切り抜けた場面は大いに興奮させてもらったが、さすがの松葉貴大とてそう何度もピンチを凌げるわけではない。3,4回に合計3点を喫してお役御免。「低めに投げなければならない投手なのに、投げきれなくてこのような結果になってしまいました」と降板後には反省の弁を口にしたが、並の投手なら3失点どころでは済まなかったかも知れない。

 そのくらい横浜打線は各打者が振れていたし(ヤクルトに完敗した反動で、かえって吹っ切れた感すらある)、中5日で苦手の屋外、それも大雨となれば集中力が削がれるのは致し方なしか。

チーム4安打はいずれも23歳以下の若手が打ったもの

 それにしてもこのゲーム、3回裏に先制点を許した時点から、終始負けムードが漂っていたのは気になった。復調気配が見えない4番……というか、もはやこれが本来の実力だと考えた方がよさそうなビシエドは相変わらずポップフライとゴロを量産。5番に回った阿部寿樹も3三振と不甲斐なく、苦しむレギュラー陣をよそにチーム4安打すべてを23歳以下の若手が記録したというのが嬉しいような悲しいような。

 今に始まったことではないが、負け試合は淡々と凡退を重ねてゲームセットを迎える。そうした打線の反発力の無さは、これまでも度々指摘してきた点だ。この原因は何か? ひょっとすると “負け癖” なのではあるまいか。負け試合に慣れ、被先制など一定のパターンになると士気や集中力が低下してしまう厄介な症状だ。

 もちろん「やる気をなくす」なんてことは無いだろうが、スポーツにおけるモチベーションの重要性は様々な論文でも研究されており、決して無視できるものではない。また長い低迷の中でベテランや中堅選手の間で “負け癖” (すなわち試合展開によって実力不発揮状態に陥る現象)が蔓延していても不思議ではないだろう。

 その中で2安打を打った岡林勇希を讃えたい。5回裏には前進守備の頭を越す飛球を韋駄天のごとく追い、フェンス間際でキャッチ。打つだけではなく守る方でも集中力を切らさず、全力プレーに取り組む姿は胸を打つものがあった。あぁ、岡林は諦めていないんだなと。この程度のビハインドでしょげるほど岡林のメンタルは柔じゃないのだ。

 今となっては懐かしいミラクルエイトも、原動力は石川昂弥、鵜飼航丞、そして岡林という若手の躍動だった。そこに今は土田龍空が加わり、三好大倫も負けじと食い下がる。竜の行く末は “負け癖” の付いていない彼ら次第だ。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter

【参考資料】

「低めに投げなければならない投手なのに…」中日先発・松葉貴大 4回3失点で無念の降板|読売テレビニュース