ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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隣から見ても青くない芝生〜ビシ40本打法は何処へ…

●1-5阪神(22回戦:バンテリンドーム)

 隣の芝生は青く見える、と言うが果たしてそうだろうか。阿部寿樹、ビシエド、溝脇隼人で組むクリーンアップはどう考えても火力が弱く、敵の立場から “青く” 見えているとは到底思えない。

 3人合わせて11本塁打97打点。燕の4番とは比べるべくもなく、12球団見渡してもぶっちぎりワーストの貧打線は、いかにもチームの惨状を物語っている。長らく5番を打った木下拓哉を二軍へ落とし、レビーラは現状バットに当たる気配すらない。人材不足はその通りだが、それにしたって新興球団でももう少しマシなクリーンアップを組めるのではないのか?……というわけで、2005年楽天の8月27日のスタメンを調べてみた。

 3番吉岡雄二(9本)、4番山﨑武司(21本)、5番磯部公一(15本)。ほら、言わんこっちゃない。ちなみに同日時点でのチーム本塁打数は楽天75に対し、ドラゴンズは55本。ボールの反発係数の違いなど単純比較はできないものの、初年度楽天にさえ到底及ばない打線というのは、さすがにシャレにならんだろう。

 こうなった直接的な原因は選手層の薄さより、むしろ故障者の多さにある。それもアリエル、鵜飼航丞、石川昂弥と中軸を打てる選手が図ったように長期離脱してしまうので、立浪監督としても手の打ちようが無いというのが実情であろう。

 したがって、6〜8月の3ヶ月間で1本塁打と不振が続いているにもかかわらず3番の重責を担わされるマスター、そもそも実績不足の溝脇については、槍玉に上げるのは気の毒な部分もある。

 阿部は本来6番あたりで気楽に打たせればもっと数字を残せる選手だし、セカンド、レフト、サードとどこを守っても無難にこなす便利屋っぷりには随分と助けられてきた。溝脇だってこれまでのキャリアを思えば十分評価できる働きを見せている。ただしクリーンアップとしてはどう考えても弱いよね、という。それだけの話である。

「チーム目標100発へ ビシ40本打法」

 問題は4番だ。もはや記憶も薄れつつあるが、今年のビシエドは40本塁打を目標にしてスタートを切ったのだ。昨年11月9日付の中スポ一面見出しは「チーム目標100発へ ビシ40本打法」。

「今のフォームだと15から20本ですよね。ちょっと形を変えれば40本打てる力はある。30本は打ってもらいたいね」とは、就任間もない立浪監督の談話である。底知れぬパワーは誰もが認めるところ。だが、生かさなければ宝の持ち腐れである。来日通算打率.292と巧打には定評のあるビシエドだが、チームに求められるのは打率よりも本塁打。もしビシエドが本当に30発や40発を打ってくれたら、一気に貧打解消だぞーーと、この時は大きな夢を描いたものだ。

 ところが「ちょっと形を変え」ることが、ビシエドにはどうしても難しいようで、オールスター明けのマツダスタジアムで打ちまくったのも束の間、得意のはずだった8月は本塁打なし、4打点と低空飛行が続く(皮肉にも打率は2割9分前後あるのだが)。かたや村上宗隆は……と、青すぎる芝生を羨んでも仕方ないのだが、“不動の4番” としてはあまりにも寂しい数字だと言わざるを得ない。

 この日も1点を返し、なおも1死一、二塁という絶好の場面で初球を叩いて4-6-3のダプルプレー。結果的に勝敗が決した瞬間だった。それでも代わりがいるわけでもなし、「4番ビシエド」は今後も続くのだろう。正直、あたまが痛い。

 ちなみに「ビシ40本打法」の翌日の一面は「ノリ太鼓判 京田トリプル3できる」。世の中ってつくづく上手くいかないものである。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter