ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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レビーラ成長譚〜キューバ産エンタメを楽しむ

●0-1x広島(19回戦:MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島)

 昔テレビ愛知でやっていた『TVチャンピオン』が好きで、よく観ていた。内容は2パターンあって、和菓子選手権やプラモデル選手権のような職人技術を競う回。一方、私が好きだったのは特撮選手権とかユーミン選手権(ウソじゃない、本当にあったのだ)のようなカルト知識を競う回だった。今にして思えば、プロ野球の遥か昔のできごとを調べてはニヤニヤするという私の変態的性分は、あの番組によって培われたものだったのかも知れない。恐るべし、テレビ愛知。というかテレ東。

 で、番組のラストではチャンピオンに輝いた人がスタジオに登場し、田中義剛と松本明子に挟まれながら「あなたにとって○○(その回の題材)とは?」という質問に一言で答える、というのが慣例になっていた。確かほとんどの人が「人生そのものです」とか、「生き甲斐です」とか答えていた気がする。

 私は今でもこの場面を唐突に思い出すことがある。「あなたにとってドラゴンズとは?」と問われたら、どう答えるべきだろうか、と。そんな質問をしてくる人なんざいないのは承知の上で、自問自答に耽ること事が年に一度か二度あったりするのだ。つくづく救いようのない暇人である。

 ただ、よく考えてみればこれは意外と難しい問いかけだ。もし勝利だけを追い求めるなら巨人やソフトバンクのファンになった方が効率がいいし、ストレス発散を目的として観戦するなら、ここ10年ほどのドラゴンズの低迷ぶりは逆にストレスを増幅しているだけにも思える。それでも翌日18時を過ぎると戦況が気になって仕方ないのは、一体なぜなのか。

 どれだけ考えても明確な答えを出すのは難しい。その中で捻り出した仮説ではあるが、たぶん私はドラゴンズの勝敗そのものよりも、「選手の成長譚」を見るのが好きなタイプのファンなのだ。特にドラフトで入ってきた若手の活躍には、まるで我が子の運動会での奮闘を見るかのように目を細めてしまう。世に言う「若手厨」というヤツである。

 そういうファンは決して少数派ではないようで、去年あたりから中日スポーツは例え負け試合であっても、根尾昂が出場さえすれば一面で仰々しく取り上げるケースが増えている。先日の巨人戦では惨敗したというのに、一面の見出しが「根尾の勝ち 中田翔にオール直球」だったのは思わず笑ってしまった。もちろん苦笑いであるが。

 古くは藤王康晴がルーキーで一軍帯同していた頃、チームが優勝争い真っ只中にありながら、球団事務所には「藤王をスタメンで使え!」「優勝より藤王が見たいがね!」という電話が殺到したという逸話も残っている。こうやって見ると、私に限らずファンというのは選手の成長を見守ることにある種の快楽を感じるようだ。

キューバ産エンターテイメントから目が離せない

 それならば、今のドラゴンズにおいて最も成長譚を楽しめる若手選手とは誰だろうか。岡林勇希、土田龍空、根尾昂、石川昂弥……といつの間にやらプロスペクト大国と化した中日ではあるが、今いちばんホットな若手といえば、レビーラを置いて他にいないだろう。

 助っ人ではあるが他球団に強奪される恐れは低く、今後しばらくはドラゴンズに所属することが確定的。FA取得年数の引き下げも検討される中で、ヘタすれば日本人選手よりも長い付き合いになる事だってあるかも知れない。

 そんなレビーラの最大の弱点といえば中学生以下とも評される守備だが、この日は6回裏に坂倉将吾の低空飛行で伸びるライナーをジャンピングキャッチ。もし逸らしていれば確実に失点していただけに大きなプレーだったし、日進月歩の成長を感じずにはいられなかった。

 同じような境遇だった巨人・ウォーカーが30歳なのに対して、レビーラは23歳という若さも魅力的だ。自慢の打撃はコンスタントに安打は出ているものの、まだまだ一軍レベルには程遠い。それでもポテンシャルは高く、今後の日本野球への順応が期待される。

 そんなわけで最近の私は、レビーラ鑑賞がもっぱらの趣味になりつつある。

ーーあなたにとってドラゴンズとは?

レビーラを楽しむ事です。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter