ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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場当たり的〜京田陽太の明日はどっちだ

●1-6巨人(17回戦:バンテリンドーム)

 シーズン100試合目。繋がらない、決め手に欠ける打線は改善の兆しすら掴めぬまま淡々と試合数を重ね、この日もルーキー・山﨑伊織の前に4安打1得点に封じ込まれる「いつもの貧打」で、3万の観衆を集めたバンテリンドームには溜め息が充満した。

 借金13で最下位に沈む立浪ドラゴンズだが、これまでの戦いを通じて目立つのは、立浪監督による “チャレンジ精神旺盛な起用” だ。開幕当初からその傾向は顕著だった。石川昂弥の開幕スタメン、鵜飼航丞の積極起用に始まり、根尾昂の投手転向や、最近ではレビーラ、ガルシアの支配下登録、土田龍空のショート起用など……。

 大抵の監督が「誰々を使え!」「なんで誰々を使わんのや!」というアングルで批判されがちな中で、ファンの「見たい」を即座に実行する立浪監督の決断の早さは異質であるし、うまくハマればチームを一気に変革できる可能性も秘めていると思う。

 ただし、現状においては残念ながらうまくハマっているとは言えず、逆にこの決断の早さが「場当たり的」として批判対象になってしまっているのは、皮肉な話である。

場当たり的な京田陽太セカンド起用

 そしてこの日、立浪監督はまたしても想像の斜め上を行く、驚くべき手を打ってきた。そう、京田陽太のセカンド起用である。実戦でセカンドを守ったのは5月6日のファームが最後で、一軍での経験はもちろん一度も無い。2018年ドラフトで根尾昂が入団した際には、気の早いマスコミから「京田コンバートか?」との観測が流れた事はあったが、結局根尾は京田の壁を越すことができず、外野に挑戦したという経緯がある。

 いわば「ショート京田」はある種の聖域であり、二軍から戻ってくる時には当然ショートで使われるものとばかり思っていたので、このタイミングでのセカンド起用は読めなかった。いくら石垣雅海が前日、3三振と振るわなかったとはいえ、ファームでも打率1割台と低迷の続く京田に救いを求めるのは……ましてセカンドを守らせるというのは、いささか「場当たり的」な感が否めない。

 気になるのは京田の胸中だ。ショート一筋でプロの世界を生きてきた男にとって、入団2年目の19歳に本職を奪われてしまうのは内心穏やかではないはずだ。そうでなくても今年の京田は、例の「戦う顔をしていない」の一件から始まり、厄年かと思われるほどの不遇続き。それでいて今度は本職剥奪、慣れないセカンドのぶっつけ本番となれば、もはや一体何を期待されているのか分からないーーそんな心境ではなかろうか。

 それでまた、場当たり的な起用というのは見事に裏目に出るもので。初回、中田翔の打球は、京田のグラブ下を抜けて無情にもセンター前へと転がり、これが先制タイムリーとなった。記録はヒット。しかしグラブに触れていようがいまいが、追いついた打球を処理できなかった時点で京田のミスと捉えられても仕方ない。

 いくらセカンドの経験が少ないとはいえ、ショートで名手と呼ばれた選手であれば処理して欲しかったし、昨季までの京田なら難なく捌いていた気もする。結局京田は6回裏1死満塁のチャンスで代打を送られてお役御免となったが、ここで代える程度の信頼度なら石垣を使っても同じでは? と思わずにはいられない采配だった。

 残り43試合。ピッチャー根尾やセカンド京田がアリなら、もう何が起きたって驚きはしない。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter