ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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満塁・木下拓哉の苦悩は続く

●1-2巨人(16回戦:バンテリンドーム)

 ライデルで負けた。俺たちのライデルが打たれた。7回1失点の上田洸太朗に白星をプレゼントする事ができなかったどころか、負け試合になってしまうなんて……。

 9回表ツーアウト。どう考えても本塁打しか狙っていない中田翔に対して、素直にストライクゾーンで勝負に行ったのは不用意と言わざるを得ない。ちなみに昨夜の対戦ではボールゾーンのスプリットで空振り三振を奪っている。カウント1-2とまだ遊べる状況だっただけに、もう少し余裕をもって投げて欲しかった。

 まして、相手は中田翔である。力と力による殴り合いには絶対の自信を誇る番長キャラだ。そういう相手にこそ真っ向から挑みたくなるのが勝負師の性(さが)と言われたらそれまでだが、150キロ台後半のストレートと同等の威力があるスプリットを持っているのだから、そこは冷静になって欲しかった。

 ライデルは直近5登板で3度目の失点となり、被本塁打は今季初。前半戦は無双を誇った最強右腕も、ここにきて疲労がみられる。無理もない。オールスターにも出場し、異国の地でほぼ休みなしに働き通しなのだから。

 今夜は中田翔の狙い打ちに沈んだものの、この程度で揺らぐほどライデルへの信頼は希薄ではない。だからこそ、この辺りで休養日を設けるのも必要ではないかと思う。何しろライデルは今季から3年契約を結んでおり、ここで潰してしまうわけにはいかないのだ。語弊を恐れずに言えば、オフには他球団やMLBへの移籍が濃厚視される選手なら、多少手荒く起用しても許されるかもしれない。

 しかしライデルはそうではない。少なくとも2024年シーズンまでは「竜の守護神」として君臨してもらわなければならない存在である。明日からのお盆休みに心躍らせている社会人諸氏なら、休暇のありがたみは痛いほど分かるはずだろう。開幕から働き詰めのライデルに、オールスター出場の代休くらいは与えてもいいはずだ。

満塁・木下拓哉の苦悩

 難敵・戸郷翔征の前にドラゴンズが作ったチャンスは3度。その全てで打席に立ったのが木下拓哉だった。4回裏の2死一、二塁ではしぶとくセンター前に落とす同点タイムリーを放ち、6回裏の2死一、二塁では一打勝ち越しの場面でライトフライに倒れた。そして迎えた8回裏は、2死満塁のビッグチャンス。ここで一本出ていれば、ほぼ「勝負あり」という場面だったが、残念ながら平凡なショートフライに倒れ、戸郷に土を付けることは叶わなかった。

 それにしても……木下の満塁での弱さは一体どうしたものか。今季はこれで8タコとなり、昨季からの通算も20打数1安打2打点と、異常なまでの弱さは一目瞭然である。得点圏を苦手にしているかと言えばそうではなく、ひたすら満塁に打てないだけ。しかし満塁の凡退は印象に残りやすいだけに、どうしても “木下=チャンス×” というイメージは拭えない。これさえ克服すれば打者・木下への信頼度もさらに厚くなるのだが……。

 野球ファンは確率で物を測るクセが付いているので、7打数無安打と聞くと「そろそろ打つ頃合いだろう」と都合よく算盤を弾いてしまうものだ。だが、今夜も木下のバットから快音は聞かれなかった。たった一本で試合が決まっていた可能性も高いだけに、打球がポコンと内野の上空に舞い上がった瞬間、大きな溜め息が漏れてしまった。

 そういえば3月のオープン戦で、木下が山口俊から満塁弾をかっ飛ばしたのを思い出した。あの時は「今年の満塁木下は違うでえ!」と喜んだものだが。あれでツキを使い果たしてしまったのだろうか? “満塁木下” の苦悩は続く。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter