ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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真夏の祭典・都市対抗野球を観戦~武田健吾は元気でした~

 夏休みシーズンに入り、野球界はプロ・アマ問わず各所で熱戦が繰り広げられている。筆者もある日はプロ野球、またある日は高校野球へと現地観戦に勤しむ中、本日は都市対抗野球大会へと足を運んだ。

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 都市対抗野球は社会人のビッグトーナメントで、その名の通り「都市単位」で覇権を争う。この大会についてはk-yad君が書いたエントリーに詳しいので、読んでみてほしい。余談ではあるが、当大会は全試合東京ドームで開催されるため、真夏に空調の効いた空間で野球を観られる幸福感は最高だ。

お目当ては元ドラゴンズの……

 午後2時過ぎ、東京ドーム着。第2試合のENEOS対西濃運輸がちょうど始まる頃だった。お目当てはENEOSの補強選手・武田健吾。言うまでもなく、昨季までドラゴンズでプレーしていた右の外野手だ。

 一塁側の特設テントに行き、チーム券をもらう。この「チーム券」は、各チームがチケットを配布する代わりに「応援グッズを差し上げるのでチームの応援お願いします」という名目のもの。ENEOSは動員の多いチームではあるが、初戦かつ平日昼だからか、席にはまだ余裕がある感じだった。

 5番・センターで出場した武田。元プロの意地を見せたのは、5回の第3打席だった。場面は2死満塁。1点差に迫られた直後、チャンスを潰しかけるところで打席に向かった。

 初球の変化球、2球目の外角直球を空振りして簡単に追い込まれるまでは、残念ながら昨季までよく見ていた姿だった。やはり厳しいか……そう思っていた矢先、武田は4度もファウルで粘って、相手投手を逆に追い込んでいく。

 そして、9球目の高め直球を捉えた打球は三遊間を突破。2人の走者を迎え入れ、ENEOSに貴重な追加点をもたらした。武田は一塁ベース上で派手にガッツポーズ。ドラゴンズ時代はあまり見られなかった、感情を顕にする姿に目頭が熱くなった。きっとこういう一打を期待され、補強されたのだ。

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 上記のk-yad君のエントリーにもあったが、「痒い所に手が届くピース」として初戦突破に貢献した武田。ENEOSの9年ぶり優勝に向けて、さらなる活躍を願う。

アップセットを目撃!

 続く第3試合の東芝vs.北海道ガスもそのまま観戦した。こちらは東芝の先発右腕・吉村貢司郎を生で観ておきたいのが目的だった。

 最速153キロの速球を武器に、ドラフト上位候補に名を連ねる吉村。映像で見る限りは速球は唸りを上げてミットに収まり、打者にまともなスイングをさせない。相当な逸材なのだろうと、期待は否応にも高まっていた。

 いざ試合が始まると、吉村は初回から150キロを連発。常時140キロ台後半の速球をフォークのコンビネーションで北海道ガス打線を抑えていく。一つ誤算だったのが、東芝打線が北海道ガスの先発・大城祐樹を打ちあぐんだこと。序盤は両軍無得点で進んでいった。

 先に均衡を破ったのは北海道ガスだった。1死から連続安打でチャンスをつくり、犠牲フライで先制。吉村の僅かな隙を突く形になった。

 結局、吉村は6回5安打1失点、93球で降板。先発としてうまくまとめたと言えるが、凄みというのはあまり感じられなかった。リリーフでどんな投球をするのかは観てみたい。

 試合はあれよあれよと1-0のまま終盤に進み、北海道ガスがそのまま勝利。大城を継いだ左腕・岩崎巧の投球は見事だった。創部わずか4年の新興チームが、社会人野球を代表する名門を撃破。まさしくアップセット。素晴らしいものを観た。

 よく都市対抗のことを「大人の甲子園」と呼ぶ人がいるが、今日はそれを再認識する機会となった。1球1球に全力を尽くし、感情を顕にする。気持ちが技術を超越する瞬間を目撃する。清々しい気分で帰ってこられたし、明日からまた頑張ろうと思えた。

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 もしお近くで社会人野球が開催される際は、一度観に行ってみてはどうだろうか。プロ野球とはまた違う、高校野球とも異なる、面白い空間が待っていることだろう。

Ikki KAGA (@ikki_0306) / Twitter