ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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たった2勝の最強投手〜犠飛で満足げな主砲にドロップキック

●1-2DeNA(11回戦:バンテリンドーム)

 プロ野球を見始めて25年以上経つが、高橋宏斗ほど完成度の高い投手がドラゴンズに現れたのは初めての事だ。川上憲伸や今中慎二も素晴らしいエース投手だったが、高橋ほど “規格外” という感じでは無かったし、これでまだ19歳という末恐ろしさを加味すれば、現時点で球団史でも十指に入る先発投手だといっても過言ではないだろう。

 それこそダルビッシュとか田中将大とか、最近でいえば山本由伸とか……。大まじめに “日本のエース” を狙えちゃう逸材。このレベルの投手って意外とドラゴンズには少なくて、それこそ胸を張って当代最強エースと呼べたのは昭和30年代の杉下茂まで遡るのではないかと思う。

 正直、高橋宏斗が2年目にしてここまで活躍することを予測できた人は少ない……というか、まずいないだろう。ルーキーイヤーの昨年は一年間ファームで過ごし、仁村二軍監督の下でストレート縛りの炎上を繰り返すなど悪い意味で話題になることの方が多く、せっかちなファンには本来ドラフトで指名予定だった栗林良吏と比較して悲嘆する人もいたほどだ。

 玄人筋はポテンシャルの高さを激賞し、現に中日スカウト陣も大学受験の結果が出るや否やドラフトの指名方針を180度転換したほどの逸材だとは分かっていても、いざ二軍でボコボコにされるのを目の当たりにしてしまうと不安に駆られるものだ。山本由伸の高卒一年目は既に圧倒的な成績をファームで残していた、なんて話を聞かされると、余計に。

 秘めたる才能が目覚めたのが昨秋のこと。力任せの投球ではなく、コンパクトなテークバックを心掛けたボールを上から叩くようなフォームにマイナーチェンジを施したことで一気に開花。当初は「開幕ローテ入りもあるぞ」だったのが、今では大野雄大、柳裕也を凌ぐ安定感を誇りつつある。だからこそ惜しいのが、白星の少なさだ。

 最後に勝ったのが4月20日。以来、8登板で5度QS(クオリティ・スタート)を記録しているにもかかわらず白星に見放されている。前回登板7月7日のDeNA戦では7回無失点に抑えながらも打線が沈黙。そして今夜は同じく7回を投げきり、奪三振は自己最多の12個をマーク。佐野恵太に打たれた2ランによる失点のみに留めたものの、あろうことか黒星が付く結果となってしまった。

 MLBでは運の要素が強い勝利数はあまり重要視されないが、日本のプロ野球ではなんだかんだいっても投手指標の花形である。高橋宏斗を「エース」と呼ぶには2勝ではどう考えても寂しいし、他球団なら最低でも5勝はできているんだろうなあと思うと不憫でさえある。

悪いのは10:0で打線

 返す返すも、なぜ今日の高橋宏斗が負けたのか、意味が分からない。「佐野にはもっと警戒すべきだった」と言っても、そんなものは無理やり反省点を見つけ出しているに過ぎない。相手がエース級ならともかく、防御率5点台の投手に手も足も出ないようでは、悪いのは10:0で打線だろう。

 全ては初回、無死満塁で犠飛による1点しか取れなかった事に尽きる。ビシエドは犠飛について「いいスイングでコンタクトできた」と満足げだったようだが、ただでさえ離脱者続出の中で、主砲たるべき4番打者に最低限の仕事で満足されちゃ困るのだ。まして後続がワカマツ、溝脇隼人という極貧打線なのだから、ここ(ビシエド)で複数得点できなかったのがあまりにも痛かった。

 で、昨日から出場しているワカマツが第一打席を打ち終わって交代。どうやら脇腹をやってしまったそうで。踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂、焙った上を叩く、痛む上に塩を塗る、こけた上を踏まれる、転んだ上を突き飛ばすーーと類似の慣用句を何個並べても足りないような状況である。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter

【参考資料】

中日唯一の得点、先制犠飛のビシエド「いいスイングでコンタクトできた」:中日スポーツ・東京中日スポーツ