ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ルーク×龍空~異例の大抜擢に使いながら育てる覚悟を見た

●1-3阪神(17回戦:阪神甲子園球場)

 昨夜の試合で高橋周平が脇腹を痛めて離脱。またアリエルも手首の痛みが再発し、立浪ドラゴンズはレギュラー二人が同時抹消という非常事態に見舞われた。今年はとにかく離脱者が多い。三塁は石川昂弥に続く負傷離脱だし、レフトもこういう時こそチャンスのはずの鵜飼航丞が離脱中と、踏んだり蹴ったりである。

 それでも誰かを昇格させなければならない中で、この人選がサプライズだった。おそらく本人も驚いたのではないだろうか。何しろルーク・ワカマツの支配下登録、即日一軍昇格である。可能性の一つとしては想定していたものの、まさか本当にやるとは思ってもみなかった。また外野手の補充には後藤駿太を抜擢。こちらもルークほどではないが、「このタイミングか!」と意表を突かれる人選である。

 私が予測していたのは堂上直倫、福田永将の昇格だった。ポジション的にも離脱した二人と一致するし、ある程度働きを計算できるという面でもありがたい存在だ。ただし目新しさは無いし、低迷するチームを救う起爆剤になるかといえば、残念ながらそういうタイプではない。堂上に至っては守備面での衰えが顕著だとの話もちらほら伝わってくる。

 つまり堂上や福田は良くいえば堅実、悪くいえばリスクを恐れた安全策という事になる。一方でルークの登用は、これまでプールでしか泳いだ経験のない少年をいきなり大海に放り込むような無謀な抜擢だ。しかしながら、冒険心に満ちた抜擢とも言い換える事ができる。

 どのみち従来の戦力では天井が見えてしまっているならば、未知数の若者に未来を託すというのは “再建” がテーマの組織にとって間違いであるはずがない。リスクの方が遥かに大きいのは立浪監督も承知の上だろう。だが、リスクと将来への投資を天秤にかけて後者を選んだのなら、私はその選択を支持したい。

 もちろん投資は失敗することの方が圧倒的に多いし、これまでも期待した若手が伸び悩んだケースは山ほど見てきた。それでも使わなければ育たないのが選手である。今はただ、ルークが当たりくじであることを祈るばかりだ。

「ミスも経験」とひと口に割り切るのは簡単だが……

 使いながら育てるいえば、土田龍空はずいぶん期待されているのだなあと感じる。再調整で二軍に行った京田陽太に代わり、3日連続でスタメン出場。昨年の秋口に一軍出場した際もそうだったが、先輩に可愛がられるタイプの人当たりの良さや、物怖じしない性格は一軍向きなのかも知れない。

 ただ、肝心のプレーの方では昨日に続いてミスを犯してしまった(昨日の握り損ねはミスの範疇ではないと思われるが)。初回に2点を失った直後、一塁走者が盗塁を決めた間に三塁走者の近本光司がホームスチールを敢行。これを刺そうとして焦った土田の送球が逸れ、痛恨の3点目を献上したのだった。方向、高さ共にバツが付く正真正銘の悪送球である。

 土田は身のこなしに柔軟性があり、難しい打球を処理する器用さを持つ一方で、元々肩があまり強くなく、送球にもやや難があるように見受けられる。また華麗なプレーをしばしば見せる割に、ファームでエラーが多いのも気になっていた。多分このあたりは基礎的なステップに課題があるのだろう。「ミスも経験」とひと口に割り切るのは簡単だが、どうも土田の足運びはショートよりもセカンドに適性があるように思えてならない。

 先述した性格面や、内角打ちの巧さ、またセーフティバントを決める器用さも含め、土田がセンスの塊であることに異論を挟む余地はない。だからこそ、このままショートで鍛えるのか、それともセカンドで育てるのかは、土田の今後のキャリアを占う上でも重要な判断の分かれ目になってきそうだ。

 どちらのポジションでもゴールデングラブ賞を獲得した名手・立浪和義の目利きや如何にーー。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter