ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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鬼門に挑んだ19歳〜上田洸太朗に勝たせてあげたかった

●1-2阪神(15回戦:阪神甲子園球場)

 「鬼門」といえば、阪神のナゴヤドーム嫌いはよく知られている。1997年の開場からとにかく負けまくり、初めてシーズン通して勝ち越したのは開場9年目の2005年のことだった。このシーズンの同球場での阪神の戦績は6勝5敗。五分で迎えた最終戦、勝ち越しを決めた中村豊(現・中日コーチ)の本塁打は今でも語りぐさになっている。

 これで呪いが解けたかと言えばそうではなく、その後も昨季までの25シーズンで阪神が勝ち越したのはわずか5シーズンのみ。6勝6敗だった2015年を除き、実に19シーズンでドラゴンズが勝ち越している。ドラゴンズにとって「ナゴヤの阪神戦」は鉄板カードというわけだ。

 一方で、阪神の本拠地である甲子園球場に対して長らくドラゴンズは大した苦手意識を持たずに戦ってきたが、突如として暗転したのが2020年だった。このシーズン1勝11敗という極端な負け越しを喫すると、昨季も2勝7敗1分と克服できず。そして監督の代わった今季はこの日の負けで開幕から6連敗と、この3年間で3勝24敗1分というあまりにも惨たらしい戦績を残しているのだ。

 果たして原因は一体何なのか。もちろんハッキリとした答えは分からない。かつて阪神がナゴヤドームでどうしても勝てなかった頃には「ナゴヤドームの明るい芝生が目に合わないのではないか」「青いフェンスに敵軍を惑わせる何かがあるのではないか」といった、オカルトじみた説が囁かれたりもしたが、相性というのはそのくらい突飛な理由でなければ説明が付かないモノなのかも知れない。

 今日だって勝つチャンスはあった。むしろエース・青柳晃洋相手に善戦した方だろう。何しろこちらの先発はプロ未勝利の上田洸太朗である。実績的には月とすっぽん程の差がある両者だが、負けず劣らずどころか内容的には上田の方が上回ってさえもいるほどだった。

 だからこそ、惜しむらくは北條史也に喫した一発だ。1死二塁からの逆転弾。左キラーの北條とはいえ、追い込んでいただけに余計に悔やまれる。しかし「あの一発さえ無ければーー」を打たせないのが青柳であり、打たれてしまうのが上田ならば、やはり内容如何に問わず上田は青柳に “投げ負けた” のだといえよう。

 ただ、逆転された後もしょげる事なく立ち向かい、6回まで追加点を許さずに投げ切った上田の勇姿は、ファン、そして首脳陣に強烈な印象を残したに違いない。6回裏、2死二塁での佐藤輝明から奪った7つ目の三振には心底痺れた。スリーボールになっても逃げずにカウントを整え、最後は低めに沈んでいく変化球を振らせて料理。ガタイの良さも相まって、何だかありし日の山本昌の姿がダブって見えたのだった。

レビーラ衝撃弾で崩れつつある “聖域”

 19歳の上田が「鬼門」のビジターで堂々たる投球を見せたにもかかわらず、チームは今夜も勝てなかった。勝たせてあげたかった。何故負けたのかって? 言うまでもない、ポイントゲッターの4番がことごとくチャンスを潰しているようじゃ、勝てる試合も勝てなくなるのは当然だ。

 昼におこなわれたファームの試合ではレビーラが来日初安打を豪快な2ランで飾った。打った瞬間、文句なしの一発は今後の活躍を予感させるには十分な当たりだった。だから早急に支配下登録を! などと急かすつもりは無いが(守備が未知数の状態で一軍起用するのはさすがにリスキー過ぎる)、徐々に “聖域” が崩れつつある事だけは自覚してもらいたいし、このままビシエドが4番に座り続けるようだと、オールスター明けの戦いも厳しいと言わざるを得ないのがツラいところである。

 ここぞで打つのが4番の役目だとしたら、正直チャンスで回ってきても期待すらできない4番というのはちょっと苦しい……なんて書いたのが恥ずかしくなるような活躍を、明日こそは見せて欲しいものだ。

木俣はようやっとる (@kimata23) / Twitter