ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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山形傷心篇〜見たかった石垣雅海の故郷出場

 東北の日本海側に位置する山形県は日本国内でも有数の壮大なる自然に恵まれた地域である。全国生産量の7割を占めるさくらんぼのイメージが強いが、もちろんそれだけではなく、日本百名山に数えられる美しい山々に囲まれ、そのひとつの吾妻山を水源として日本海に注ぐ最上川は、一つの都府県のみを流域とする河川としては日本国内最長229キロを誇るのだという。

 ちなみにこの最上川の河口にあたる酒田市で生まれ育った野球選手こそがドラゴンズ・石垣雅海である。せっかく一軍帯同していたにもかかわらず、この遠征直前に惜しくも二軍行きを命じられてしまったのが残念でならない。

 そのために特別配慮する必要は無いとは思うが、ギリギリまで帯同していただけにどうしても惜しさは感じてしまうし、せめてこの遠征が終わるまでは降格を待って欲しかったと思うのは、少し感傷に流され過ぎだろうか。

 次はいつ日程が組まれるとも知れない山形遠征である。誰よりも心待ちにしていたであろう石垣の無念さを思うと心が痛むが、甲子園球場での2三振はたしかに心象が良いものではなかった。仕方ないとは言えばそれまでだ。

 遠路遥々と東北へ向かった一軍とは真逆に、関西は舞洲でのファームの一戦に出場した石垣は、おとといまでの不甲斐なさが何だったのかと思うほどの力強いスイングで5打数3安打1四球の活躍をみせた。もちろん根本的なレベル差はあるものの、一軍と二軍でのまるで別人かのような姿にはいつも悶々とさせられる。

 どちらが本当の姿なのだろうか。きっと二軍の方に違いないと信じたくても、高卒6年目の石垣には刻一刻とファイナルジャッジの時は近付いている。だからこそ今回の遠征で故郷に錦を飾るような、一人の若者が人生を変える瞬間を見守りたかった。

 地元だから実力以上のモノを発揮できるはずなどといった精神論を打つつもりはないが、故郷の夜空に夢を架ける石垣のアーチ……見たかったなあ。

「氣」すらも感じない……深刻な竜の士気低下

●2-6巨人(13回戦:山形県野球場)

 ところで肝心の試合の方はと言えば、この日も「あと1点」が遠く6連敗。ダラダラと残塁を積み重ねているうちに引き離されるという、典型的な “弱者の野球” で終始主導権を握れないままゲームセットを迎えた。

 ここまで来ると、誰が悪いとか何かのせいとかいう単純な問題ではなく、長年沈殿してきた様々な要因があちこちで複雑に混じり合い、球団内外をじわじわと蝕み、そうして出来たガンがいよいよ誤魔化しの効かないところまで肥大化したと見るのが適切ではなかろうか。

 スケープゴートとして、あるいは管理責任者として立浪監督は矢面に立たされる責務を負っているが、もはや首脳陣を替えたくらいでは如何ともしがたいところまで問題は深刻化しているように思えてならない。

 秋山翔吾の広島入りという衝撃的なニュースが球界を駆け巡り、DeNAもまもなくオースティンが復帰するという。じゃあドラゴンズはといえば、根尾昂の投手転向は期待こそ抱かせるものの、補強でもなければ現在の窮状を直ちに救うカンフル剤になるものではない。

 他球団の羨ましい話を聞くたびに感じる、ドラゴンズだけが立ち遅れているような不安。一番弱い球団が一番チーム強化に消極的という現実を、ファンはただ呆然と眺めているしかないのだろうか。

 話を試合に戻す。9安打2得点という非効率的な攻撃もそうだが、バレバレのランエンドヒットを見破られるなど、負けがこむと采配まで冴えなくなるものだ。だが一番残念だったのは4点ビハインドの9回表。ドラゴンズは新人投手の前にせめてもの抵抗を見せる気配もなくわずか11球で三者凡退に封じ込まれた。この無抵抗があまりにも哀しかった。

 弱いのはいい。よくはないけど、いい。でもせめて、なんとかしようという気概だけは見せて欲しかった。立浪監督の旗印でもある「氣」という言葉。今のドラゴンズからは、それすらも感じられなくなってしまった。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

山形県について | 山形県

最上川 | 山形県