ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「その気でやらんかアホ!」波留コーチの檄も虚しく6連敗……いつの時代も未来を築くのは若者だ

●0-2日本ハム(3回戦:札幌ドーム)

 それは5回表の攻撃前のことだった。打ちあぐねている時に円陣を組むのはよく見る光景だが、この日は少し様子が違っていた。波留コーチが物凄い剣幕で「目え覚ませ!○×△、いつまで甘えてやってんねんや!」「その気でやらんかアホ!」といった “猛檄” を飛ばしていたのだ。

 その様子は気合注入と言うよりも、さながら恫喝や説教のようだった。遠い昔の部活のトラウマがフラッシュバックした人や、日ごろ会社で受けている “激詰め” を思い出して気分が悪くなった人もいる事だろう。令和になってこの光景をお目にかかるとは思わなかったので、賛否以前に「ビックリした」というのが率直なところだ。

 この件そのものの所感は置いておくとして、この日もドラゴンズはチャンスを生かせず零封負け。波留の恫喝も、残念ながら結果には繋がらなかった。交流戦を6連敗で終え、気付けばセ・リーグの単独最下位である。

 弱り目に祟り目とはまさにこの事で、ビシエドが以前脱臼したのと同じ左肩を痛めて途中交代。ようやく調子を上げ始めたというタイミングでの離脱となればチームにとって致命傷にもなりかねない。リーグ戦再開は4番不在で迎える形になりそうだ。

 中村紀洋コーチの「異動」の件あたりから吹き始めた逆境の嵐。勝てば官軍、負ければ賊軍の世界において借金8を抱える将を擁護するつもりはない。このままズルズルと深みにはまれば、これまで “応援団” に徹していたOBからも疑義を呈する声が上がってくるだろう。その次が中スポ1面の『緊急提言』と題した有力OBによる問題点指摘。この10年、何度も見てきたお決まりのパターンである。

 試合後には福留孝介の二軍降格が報じられた。シーズンも折り返しを迎えようという段階にきて1安打止まりでは、さすがにそうせざるを得なかったか。開幕戦では3番スタメンを任せられた24年目の大ベテランだが、残念ながら立浪ドラゴンズ低迷の象徴のようになっている感は否めない。

鍵を握るのは若手。いつの時代も未来を築くのは若者だ

 さあ困った。満を持して爆誕した立浪ドラゴンズが6月半ばの時点でこれほどまでの苦境に陥るとは。石川昂弥の離脱というアクシデントがあったとはいえ、ついこないだまで貯金生活をしていたのだ。坂から転がり落ちるのが急すぎるし、速すぎる。立浪監督としても、対策が追いつかないうちにあれよあれよと負けを重ねている感覚ではないだろうか。

 つい「誰々が復帰すれば〜」というような青写真の一つでも描きたくなるが、近々戻ってくるであろう京田陽太の昇格が爆発的な上昇機運を生むかといえば、贔屓目に見てもそれは厳しい。

 石川は今季中の復帰さえも難しそうな状況。かといって突然フロント(ってか宇一郎)が、トヨタ・豊田社長よろしく「超本気をお見せします」と両手を広げながらブチあげて、優良助っ人の獲得に踏み切る姿はーー申し訳ないが想像すらできない。

 チカラもない、お金もない、ないないばっかじゃキリがない。それじゃあドラゴンズには何の希望もないのか。このままアテもなく荒野を彷徨うしかないのか? こんな時、人は救世主を求めようとするものだ。都合よく若手が台頭し、胸がすく大活躍をしてくれるかもしれない、と。

 だが、それはほとんど現実逃避の妄想に過ぎない。残り81試合、戦うのは今と同じメンバー。そして立浪監督を始めとした今と同じ首脳陣だ。だから最後まで諦めずに応援しよう、なんて反吐が出そうな綺麗事をホザくつもりはない。バッシングするのも愚痴をこぼすのも、程度さえ弁えればファンの自由。

 むしろ諦めちゃいけないのはファンではなく選手の方だ。“諦める” というのは語弊があるかもしれないが、少なくともこの札幌遠征を見ていて、選手の目が爛々と輝いているようには思えなかった。4月まではもっと感情豊かにプレーしていたように感じるのだが、気のせいだろうか。

 負けが続けばムードは重くなる。何とか状況を打破しようと、波留コーチの語気が強くなったのも理解はできる。若い選手の多いチームゆえに、こういう時の乗り越え方が分からないのも無理はない。

 ただ、悩んでいても試合はやって来る。どのみち143試合を消化しなければ終わらない以上、選手自身がこの壁を乗り越えるしかないのだ。となると、やはり鍵を握るのは若手。いつの時代も未来を築くのは若者だ。鵜飼航丞や岡林勇希といった若手がこの状況を日常として捉えず、いかに反発心を持って臨めるか。結局はそこに懸かっている。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter