ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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感動なきドラゴンズに明日はあるのか

●1-2x日本ハム(1回戦:札幌ドーム)

「明日目覚めたとき突然、強竜打線にならないかな」

 金曜日、明日は休み。俗に “華金” と呼ばれる夜でもドラゴンズファンに安寧の時が訪ることはない。目の前に立ちはだかるのは “サヨナラ負け” という途方に暮れる現実だけだ。

 大野雄大は頑張った。上沢直之との投げ合いを通じてエースの矜持を十二分に示してくれた。特に首位打者の4番・松本剛に対しては、意地でも打たせないという心意気がボールに乗り移っているようにも感じた。まるで2020年の大野を見ているような--と言ったら褒めすぎかもしれないが、あの時ほど神がかっているわけではないにせよ、今年の大野は2,3登板に一度は「打たれる気がしない」力投を見せてくれる。

 さて、試合は延長11回裏、意外な形で動くことになった。1死から清宮幸太郎の何でもないセカンドゴロを阿部寿樹がまさかの後逸。そこから2死二塁とし、ベテラン谷内亮太のプロ10年目にして初のサヨナラ打でジ・エンド。一週間ぶりの疲れがドッと押し寄せる形で4連敗を喫し、借金も今季最多タイの「6」に逆戻りとなった。

 阿部のエラーは痛恨ではあったが、責めるつもりはない。何しろ今年の阿部はファースト、セカンド、サード、レフトと内外野4ポジションを守り、なんとこれが今季初エラーだという。驚くべき堅実さでセンターラインを守ってきたマスターを、たった一度のミスでどうして責めることなどできようか。

 それよりも問題はやはり打線である。零封負けを喫した昨夜に続き、この日も1点取るのがやっとの低空飛行。相手が上沢とはいえ、根本的な迫力不足は否めない。昨日今日始まったわけではなく、もう何年も指摘され続けている貧打問題。いつまで待ってもホームランテラスが付く気配はないし、貧打解消のために呼んできたはずの中村紀洋コーチは開幕三ヶ月目にして「異動」を命じられてしまった。

 おまけに数少ない希望である石川昂弥は長期離脱。開幕直後は盛り上がった「ミラクル・エイト」もいずこへ。ありとあらゆる面で呪われているとしか思えない惨状に、さすがの私も平静を保つのがキツくなってきた。こんなドラゴンズに誰がした。嘆き続けて早10年。一体いつまで待ったら報われるのか?

 それでも私のようなチョロいファンは明日になればまたプレイボールの瞬間を喜々として迎えるのだろうが、全てのファンがそうではないことを球団は肝に銘じるべきだ。1997年のナゴヤドーム開場以来、初めて観客動員が2万人を割ったのは2010年6月16日の日ハム戦だった。それが2017年頃からは人気カードの巨人戦でも2万人割れが見られるようになり、今年は既に本拠地14試合で記録している。

 コロナ禍を言い訳にするのは簡単だが、どう考えてもファン離れの原因はそれだけじゃない。負けるたびにじわり、じわりと減ってゆくファン総数。SNSでは時折あまりの負けっぷりに腹を立てて「もうファンをやめる」と宣言する人がいるが、大半のファンは何も言わぬまま自然消滅のような形でドラゴンズから離れていってしまうのだ。その蓄積が2万人割れの連発という異常事態であり、今後も現場任せの低迷が続くようであれば、ファン離れは拍車がかかる一方だろう。

ニヤリとした鵜飼の満振り

 いつになく厳しめの論調になったのは、コンビニで買いこんだ「檸檬堂」の酔いが回ったからではない。大好きなチームの無残な敗北を見せられるのが、それだけ悔しくて、歯がゆいのだ。

 そんな中にあってニヤリとしたシーンが一か所だけ。鵜飼航丞の第1打席、初球の満振りはかすりもしなかったが、そのスイングには確かなロマンが詰まっていた。8日の最終打席から目下7打席連続三振とドツボにハマっているが、そのうち6個が空振り三振。どんなときも積極的に振っていく姿勢はバッティングの基本である。

 振れ振れ、若者。土曜日、明日になれば……多分そろそろデカい一発が飛び出すはず。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter