●6-9千葉ロッテ(2回戦:ZOZOマリンスタジアム)
1番から4番までの上位打線がそろってマルチ安打を放ち、3番アリエルと4番ビシエドが今季二度目のアベックアーチを記録。これでも勝てないのが野球の難しさというか。
12安打2得点だった昨夜とは違い、11安打6得点とそれなりに効率よく点も取れた。しかし、打つ方がよくても肝心の投手陣が13被安打9失点ではどうにもならない。苦手の屋外ビジターで先取しながら、貧打といわれるロッテ相手に2試合続けて逆転負けを喫するとは……。
負け投手は鈴木博志。前回登板ではプロ初先発で山本由伸に投げ勝つという大金星を挙げたヒロシだが、今日に関しては立ち上がりから怪しさ満点。ビシエドの一発で幸先よく2点を貰ったものの、先頭・高部瑛斗に名刺代わりの四球を献上。せっかく一、三塁のピンチを凌いだのに、1死一、二塁からまた四球では元も子もない。
自分で自分の首を絞めるような投球は、ある意味で「オレたちのヒロシが帰って来た」的な安心感はあるが、それにしても内容がひどすぎた。初回1失点、3回3失点、4回2失点はいずれも四球絡み。前回が出来すぎだったとはいえ、あまりに落差が激しい内容にどちらが本当のヒロシなのか、首脳陣も困惑していることだろう。
かつて “暴れ馬” と称された中田賢一でさえ、中日時代に記録した与四球率のワーストは2007年の10.9%である。かたや鈴木の通算与四球率は11.0%。これでは安定感を望む方がムリというものだ。やはり前回の投球がフロックだったのか、それとも今日がたまたま手元が狂っただけなのか。決して先発投手陣の台所事情が楽とは言えない現状、おそらく次のチャンスはそう遠くない未来に巡ってくるはずだ。
その時は “オレたちのヒロシ” ではなく、“オレたちの知らないヒロシ” に再び会えることを期待したい。
自分の健康を犠牲にしてでも出場にこだわる大島洋平の泥臭さ
負けはしたものの、そこまで悲壮感がないのは活発な打線のおかげだろうか。このチームはバンテリンを出た途端に、水を得た魚のようによく打つから不思議である。
現に惜しいところまでは攻めた。8回表には2者連続三振を喫した直後、溝脇隼人が打席に立った途端にゲレーロがあきらかに動揺し、そこから2死二、三塁のチャンスを作るもあと一本が出ずに勝負あり。
しかし淡白に終わらなかった事と、溝脇の持つ不思議なオーラが見られただけでも無為なイニングでは無かったと思う。これで溝脇の出塁率は.333に上昇。冗談抜きで “竜のジョーカー” になりつつある。
それはそうと、ここにきて熾烈を極めるのが外野争いだ。指名打者のアリエルは一発を含むマルチ安打で打率も3割台をキープ。これだけ打てるならリーグ戦が再開してもスタメン落ちの可能性は低そうだ。一時期調子を落としていた岡林勇希は再び上昇に転じており、将来への投資という意味でも使い続けたいところ。ライトの鵜飼航丞も然り。確実性こそ低いものの、バンテリンで柵越えできるパワーはやはり魅力的だ。
そうなると難しいのが、大島洋平の起用ということになる。大島といえば打撃の安定感と同様、守備走塁面での貢献が光る選手だが、死球を受けた足の症状が思わしくなく、センターを守るのが厳しいのであれば必然的に起用の優先順位は下がってしまう。もちろん3,4月のように4割近いアベレージを残すのであれば別だが、今の状態であればアリエル、鵜飼を押しのけてまでスタメン起用するメリットは、正直低いと言わざるを得ない。
そもそも神経が切れて足に力が伝わらないほどの重傷を負いながら、無理して出場する方がおかしいのだ。絶対に休んだ方がいい。休むべきなのに、大島は休まない。それどころか平然と一軍でプレーしてしまう。そういえば大島って、昔からそういう選手だ。骨折しても試合に出たり。痛い痒いとは口が裂けても言わず、黙々と試合に出続ける。
近年の野球界はとにかく選手の体のケアを最優先し、ファンもそれを理解して強行出場を是としない風潮がある。もちろん正しい流れであろう。ただ、自分の健康を犠牲にしてでも出場にこだわる大島のような泥臭い選手が一人くらいいてもいいし、そんな傷だらけの覚悟に対しては「休め」よりも「頑張れ」という言葉をかけた方が適切な気がする。
復帰後の大島は打率も低く、万全には程遠いパフォーマンスが続いている。でも、どうせそのうち元に戻るから心配はいらない。何しろ大島洋平は “プロ” だから。そうやって生き抜いてきた選手だから、今度もまた何食わぬ顔で華麗な守備をみせ、3割近くまで上げてくるに決まっている。そう信じている。