ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

脅威のフルスイング!千賀がみせた「勝利とは何ぞや」の姿勢

●0-6ソフトバンク (1回戦:バンテリンドーム)

 7回までの緊張感はどこへやら。1点を巡る攻防はラスト2イニングで暗転したが、大野雄大と千賀滉大の投げ合いはさすがに見応えがあった。

 驚かされたのは2回表、ランナーを二塁に置いて迎えた千賀の打席だ。その初球、高めのストレートに対して体がちぎれんばかりのフルスイングで空振りすると、スタンドからは大きなどよめきが起こった。

 普段打席に立たないパ・リーグの投手は、交流戦になるとここぞとばかりにやる気をみなぎらせるとは聞くが、ここまで闘争心を前面に出したスイングをお目にかかるのは初めてだ。交流戦が始まって18年目、おそらく投手がバッターボックスで吹かせた “最大瞬間風速” だったのではなかろうか(文字通りの意味で)。

 いくら投手とはいえ、あのスイングを見てしまうと迂闊に攻めることはできない。結局三振に打ち取ったものの、大野が心なしか慎重に投げているように見えたのは気のせいではあるまい。淡々と打ち取られるのではなく、少しでも相手の体力を削るのだという気概。さすがは長年、常勝ホークスのエースを張っているだけのことはある。

 だが、千賀の打ち気が決してブラフではなかったことを後に我々は思い知らされる。4回表は先頭から2者連続ヒットで一、二塁とし、8番・甲斐拓也の犠打でそれぞれ進塁。ここで打席には問題の千賀である。普通に考えれば1番・三森大貴との対戦がこの局面での本丸になるはずだが、どうしても第一打席でのフルスイングが焼き付いて離れない。

 するとカウント1-2からの4球目、外角低めに沈むカットボールをうまく逆方向へ捌くと、打球はなんとレフト後方まで伸びて三塁走者は楽々生還。柳田悠岐でもグラシアルでもなく、千賀の先制犠飛という予想だにしない形で均衡が破れた。スコアだけ見れば「せっかく追い込んだのにもったいない」という感想になるが、それは違う。

 三振を狙いに行ったであろうカットボールの精度は何度見返しても問題なし。つまり大野の投げミスではなく、千賀のバッティングがうまかったのだ。

 打てなくてもスイングの強さで圧倒し、ここぞの場面ではきっちり仕事をする。勝利とは何ぞやを知り尽くした千賀の姿勢は、淡々と凡打を繰り返す野手にとっても刺激になったはずだ。あれだけの打棒があればセ・リーグに来ても超一流になっていたのは間違いない。つくづく年に一度会うだけの間柄でよかった。

一気に乗っていきたいところで、なかなか乗り切れないのがもどかしい

 その千賀にアクシデントが発生したのが6回途中のこと。鵜飼航丞を打ち取った直後にトレーナーとベンチに下がった。よもやの緊急降板である。

 言い方は悪いが、ドラゴンズからすれば打ちあぐねていた千賀の降板は反撃のチャンスだ。大野の粘りの投球でビハインドは最少に留まっている。残り4イニング。さあ、久々に逆転竜が牙を剥くぞ。そんな期待も空しく6,7回の攻撃を封じられると、8回表に山本拓実がつかまり一挙4点を献上。追い上げムードすら作れないまま一方的な敗北を喫した。

 楽天戦ではマー君、岸孝之から金星を挙げて勝ち越し。一気に乗っていきたいところで、なかなか乗り切れないのがもどかしい。開幕から54試合を消化し、最大連勝は「4」が二度。これでは大型連勝とは言えず、5割ラインが遠く感じるのも無理はない。

 そうこうしているうちに7連敗のような “負の流れ” が再度押し寄せれば、優勝争いはおろかAクラス争いからも大きく後退することになる。

 立浪ドラゴンズ初の大型連勝をそろそろ呼び込みたいところだ。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter