ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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正にカオスなショート事情。決着はどうなる!?

「これでショートは10年大丈夫」

 阪神が鳥谷敬をドラフトで獲得した際、岡田彰布監督(当時)はこう思ったそうだ。後に鳥谷は球史に残るショートに成長し、入団時の見立てが間違いではないことを証明した。

 19年後の2022年。希代の名手を彷彿とさせる逸材が東京六大学野球に現れた。その名は宗山塁。今春、明治大のリーグ制覇の立役者となった2年生ショートだ。

 卓越したバットコントロールと長打力を併せ持つ打撃で首位打者を獲得。加えて、本家さながらの華麗な内野守備と涼しげな佇まい。ドラフトイヤーとなる2024年には、球界を巻き込む大争奪戦になっても不思議ではない。

「第1回選択希望選手 中日 宗山塁 内野手 明治大学」

 このような妄想をニヤニヤしながらしてしまうこともある。まだ観たことがない方は、一度神宮球場に足を運んでほしい。

非常事態宣言

 まさに緊急事態。京田陽太の二軍降格以降、混迷極めるドラゴンズのショート事情。代役として、三ツ俣大樹らが奮闘を続けているものの、背番号1の偉大さを改めて実感する毎日だ。

 守備面での記録に残らない小さな綻びから、致命傷を負うこともあった。この間に、外野手登録となった根尾昂もショートに再挑戦。内野の要を欠くチームは苦戦を強いられている。

 迎えた5月21日の広島戦。そこには誰もが予想できない展開が待っていた。本来、セカンドやサードを守る高橋周平が試合の途中からショートに入ったからだ。一時の気の迷いかと思ったが、指揮官は真剣そのもの。攻撃力を重視することによって、難局を打開しようとしている。

 しかし、ペナントレースはまだ3分の1が終わったところ。長いシーズンをどう乗り切るか、首脳陣の腕の見せ所だ。少なくとも、急造ショートで誤魔化せるほどプロ野球は甘くない。

タラレバはあれど

「成長するだろう」、「活躍してくれるはず」。私たちはつい希望的観測で選手を見てしまう。

 京田の復権には大いに期待しているし、根尾や土田龍空が定位置を獲得する未来も待ち望んでいる。思わぬ選手がレギュラーを掻っ攫うのも夢のある話だ。しかしながら、願望だけで将来の見通しを立てることほど危険なことはない。

「ドラゴンズ・宗山」

 再来年のことを言うなんて、鬼も大笑いだろう。それでも絶対的なレギュラー不在のチーム状況を考えたら、待望論が出てもおかしくない。ただ、どれほど優れた選手であろうとも、ドラゴンズの一員にならない限り何も始まらない。

 オリックス3連戦では三ツ俣が勝利に直結する働きを見せ、存在感を強烈にアピール。古巣への恩返しは、チームに活を入れるとともに、サバイバルを勝ち抜くための決意表明と感じられた。まずは既存の戦力で何とかするしかないのだ。

 熾烈な競争の末、誰もが認めるショートを擁立することができた際には、こう言えることを願っている。

「これでショートはもう大丈夫」

yamadennis (@yamadennis) | Twitter