ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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HP全快〜元気な三ツ俣大樹が帰ってきた

〇4-1オリックス (1回戦:京セラドーム大阪)

「休み休み仕事しないとHP無くなっちゃうじゃないですか」

 こないだ後輩に言われた言葉である。正確には言い返された言葉だ。弊社は社内規定で昼休憩は60分間と一応決まっているのだが、そいつはとにかくよく休む。何かといえば休憩を取る。計ったわけではないが、おそらく8時間の労働時間のうち3時間は休憩に充てているのではないだろうか。もちろん昼休憩は除いて。

 せわしなく働いている人達からすれば、当然やっかみの対象となるわけで、裏でコソコソと陰口を叩かれるのも彼にとって損にしかならんよなと思い、先輩としてそれとなく「もう少し上手に休憩を取った方がいい」旨を伝えてみたのである。

 それに対する返答が「HP無くなっちゃうじゃないですか」。思わず膝を打った。そりゃそうだよなと。瀕死の状態であくせく働くより、HPに余裕のある方がいい仕事できるに決まってるもん。かく言う私もできるだけ手を抜き、最小限のエネルギーで働きたい人間なのでヒトの事を言えた義理でもないのだが。

 まあHPの残量は人それぞれなので一概には言えないが、休み休み仕事した方がパフォーマンスの上がるタイプというのは少なからずいるようだ。今夜の三ツ俣大樹を見ていると、つくづくそう感じた。

 4回裏、なんらかのアクシデントにより退いた石川昂弥に代わり、高橋周平がサードへ、そして「5番・ショート」には三ツ俣大樹が入った。出場は2日ぶりだが、打席に立つのは22日の広島戦以来5日ぶり。一時期は京田陽太の代役で連日スタメン出場していたが、チームの連敗と歩調を合わせるかのように、そのバットは湿り切っていた。

 10日のヤクルト戦で打率.375まで上げたのをピークに急降下。その後は23打数3打数、打率.130と低迷を極め、守備でも送球ミスなどマズいプレーが目立ちつつあった。高橋周平のショート転向という無謀にも思える挑戦も、三ツ俣の不安定さがもたらしたのは否めない。

 その意味ではこの日の緊急出場は汚名返上のチャンスである。しかし、久々にちゃんと出場した三ツ俣はまるで水を得た魚のように生き生きとしていた。先週までとはまるで別人のようだ。その姿は、一度枯れ果てたHPが全快したかのようだった。

誰もが金本知憲や鳥谷敬になれるわけじゃない

 攻走守、全てにおいて活躍した三ツ俣は、間違いなく影のヒーローと言えるだろう。まずは6回表、1死二塁から貴重な追加点となるタイムリーツーベースを放つと、続く阿部寿樹のセンター前ヒットでは佐野皓大の緩慢な動きを見てすかさず本塁を陥れ、みごと生還。大西コーチの「いけ!」の声に反応したそうだが、一瞬でも集中力を切らせばスタートは遅れていたはず。五感を研ぎ澄ませて成し遂げた、紛うことなき “神走塁” である。

 さらにその裏、守備でも面白いプレーを見せてくれた。佐野(またか!)のショートゴロを一旦はジャックルするも、文字通り “お手玉” した後に間一髪のストライク送球。続いて中川圭太のイレギュラーバウンドした打球にも半身の体勢で捕球する好プレーを披露し、好投する大野雄大を盛り立てた。

 最近の低迷がウソのような体のキレ。これを見て確信した。おそらく三ツ俣は、レギュラーで出続けるよりも休み休み使った方がいい仕事をするタイプだ。誰もが金本知憲や鳥谷敬になれるわけじゃない。されど効率よく休めば、たまに彼らのような大活躍ができることだってある。

 省エネ、ハイパフォーマンス。「連続試合出場」が過去の遺物のなりつつある令和の球界において、三ツ俣のようなタイプは今後もっと増えていくのかもしれない。もうHPを擦り減らしながらゴリゴリ働きまくる時代は終わったのである。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter