〇6-3西武(3回戦:バンテリンドーム)
名古屋では、やけになったファンが朝から路上で飲んだくれ、殴り合いの喧嘩がそこかしこで発生しているという。宇一郎の子飼いの県警が火消しに躍起になっているが、「補強する気のないオーナーは去れ!」と市民からシュプレヒコールで反撃される始末。さらに矛先は立浪監督にも向けられ、この一週間ほどで立浪政権の支持率は急降下している。
秩序の崩壊した街並みはまさにディストピア。原因はもちろんドラゴンズの7連敗である……って、今朝の『ドデスカ』でやってた。もちろんウソ。
ただ、SNSを中心としたネット世論が7連敗に痺れを切らし、相当荒れまくっていたのは事実だ。基本的にTwitterのタイムラインは流し読みするだけの私にも、「おーおー、荒れとるなあ」という程度にファンの憤慨は伝わってきた。そりゃ15日の巨人戦で勝ったのを最後に、10日間も白星から見放されれば投げやりになるのも無理はなかろう。
大野雄大、柳裕也、そして高橋宏斗にも止めることができなかった悪夢の連敗。打っては打たれ、抑えれば打てずの負の連鎖にストップをかけたのはやはりこの男、松葉貴大だった。
先に先制のチャンスを得たのは西武だった。4回1死一、三塁で打席には山川穂高。裸足で逃げ出したくなるような場面でも、松葉は冷静にボールを制御した。カウント1-2からの5球目は外角低めギリギリを突くストレート。さすがの山川も手が出ず、見逃し三振でまずワンアウト。続く呉念庭も執拗な外角攻めでセンターフライに打ち取り、この日最大のピンチを脱した。
勝因は明らかだ。怖い4,5番に対しても松葉は一貫してストライクゾーンで勝負ができた。カウントを悪くし、投球を窮屈にする前に決着を付ける。それで打たれたら仕方ないくらいの割り切りが、こういう場面では必要なのかもしれない。
相手が誰であっても強気の投球を貫ける度胸は、さすがは甲子園の優勝投手
その点ではこの男だって負けちゃいない。背番号50、清水達也である。“5回まで男” の後を受ける形で6回表のマウンドに登板。まだリードは3点、しかも3番・オグレディから始まる打順とあって安心はできない。できれば1点も奪われずに帰ってきて欲しい。そんなベンチやファンの願いに応えるかのように、清水はわずか10球でこの日の仕事を “完遂” してみせた。
松葉の投げる日は必然的に最低4人のリリーフが投げることになる。その先陣を切った清水がフラフラした投球を見せていたなら、戦況は大きく変わっていてもおかしくはなかった。ここでピシャリと抑えたからこそ優位に立つことができたのだと思う。
この清水も、打者に対して臆せず勝負できる投手だ。ここまで20試合18イニングで与えた四球はわずか4。相手が誰であっても強気の投球を貫ける度胸は、さすがは甲子園の優勝投手といったところか。
リリーフエースと目されていた岩嵜翔の離脱により再編を余儀なくされたブルペン陣だが、ここまでは予想に反して盤石な働きをみせている。その原動力としてジャリエル、ライデルのキューバコンビに加え、この清水の安定感も大いに寄与しているのは間違いない。
出身校の花咲徳栄高校の校訓は「今日学べ」。意味は「明日に甘えることなく、今日できることは今日のうちにやるという姿勢をめざしたもの」だという。リリーフは一度の炎上でそれまでの活躍が無に帰すこともめずらしくない。だから四球なんて出している暇は無いんだと。今日を全力に生きるとは、まさしく清水の投球スタイルそのものではないか。
ドラフト同期の山本拓実と共にブルペンを支える22歳。若竜の躍進に、やはり昇龍ロードの途上を感じずにはいられない。
木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter
【参考資料】