ちうにちを考える

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ドラゴンズファンが河村亮アナを悼む

 突然の訃報だった。日本テレビの河村亮アナウンサーが脳出血のため亡くなった。54歳の若さだった。

 巨人戦をはじめとする野球中継や箱根駅伝など、スポーツ実況の名物アナとして知られ、数多くの名実況を生んだ。また、『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』などのバラエティ番組でも抜群の進行・レポートを見せ、こちらの印象が強い人もいるだろう。

 ドラゴンズファン目線としても、河村アナは印象に残る実況アナウンサーだった。とりわけ2006年の「痛烈! 一閃!」、08年の「なんという井端!」は未だに語り継がれる名実況だ。

30秒の名実況

 06年の「痛烈! 一閃!」は、リーグ優勝を決めた10月10日の巨人戦、延長12回にタイロン・ウッズが放った満塁弾で生まれた実況である。説明不要かもしれないが、最近ファンになった方もいると思うので、記しておく。

 ここで、河村アナの当時の実況を振り返ってみよう。

「痛烈! 一閃! 今日は、今日は、スリーランに続いてグランドスラムー!」

「2夜連続のグランドスラムー! 誰がこの4番タイロン・ウッズの活躍に文句を言わせようか!」

「これぞ4番! これぞ主砲! これぞタイロン・ウッズ! なんと今日7打点!」

 今でもこの実況をソラで唱えられる人もいると思う。

 タイロンが捉えてからベース一周を終えるまでのわずか30秒。それだけ端的に、タイロンの打棒が表現されている。

 改めて当時の録画を観ると、捉える音がした瞬間に「痛烈!」と聴こえる。まるで結果が見えているかのよう。優勝がかかる試合とはいえ、開始から4時間が経過。そこで高い瞬発力と適度な力の入った実況をするのだから、恐れ入る。

スポーツの魅力を伝え続けたアナウンサー

 しかし、15日のアリエルの本塁打で後輩の伊藤大海アナが「痛烈! 一閃!」と実況した時には、こんな報せを受けるとは夢にも思わなかった。真相は分からないが、きっと伊藤アナは予め訃報に触れた上であのフレーズを発したのだろう。そこに込められた"想い"は我々に十分伝わっている。

「原監督は言います、◯◯であると」に代表されるポエム調アナウンスには賛否あったけれど、間違いなくスポーツの魅力を伝え続けたアナウンサー、かつ日テレ系でも巨人だけに寄らない実況に終始したアナウンサーとして、私は河村アナのことを覚え続けると思う。

 心からお悔やみ申し上げます。そして、ありがとうございました。

Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter