ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

それぞれの信頼~不安が先に立った「代打・福留孝介」

●6-7巨人(8回戦:東京ドーム)

 きっと悪い夢でも見ているんだ。目を覚ませば6回裏、清水達也が満塁火消しに成功したあの場面に戻るに違いないんだ。戻れ、戻れ!……なんてムナしい妄想に耽りながら発泡酒を2缶、3缶と空けるしか感情のやり場がない土曜の夜。FMラジオから流れる『サタデーナイトフィーバー』のイケイケなサウンドが、こんなに空虚に聴こえる夜は初めてかもしれない。

 6回表の攻撃を終わった時点で5点リード。その裏2点を返されても、その後に控えるリリーフ陣の顔ぶれを考えれば勝利はほぼ手にしたも同然かに思われた。7回裏のマウンドに上がったのは祖父江大輔。簡単に1アウトを取り、ゲームセットまで残るはあと8アウト。ここから一挙5点を失うのだから、野球というのは怖いスポーツだ。

 昨夜、立浪監督は溝脇隼人の一瞬の守備判断の遅れを敗因として指摘したが、今日に関してはミスでやられたわけではなく、采配的にも祖父江の投入は妥当も妥当。となると、もはや打った中田翔を褒めるしかない……というのがより一層、やるせなさを増幅させやがる。

 そりゃ祖父江が「アカン」のはその通りなのだが、こればかりは結果論でしかなく。第一、3年にわたって勝ちパターンの一角を担うタフネスをたった一度の失敗で責め立てる気にはどうしてもなれない。リリーフというのは抑えて当たり前、ニュースになるのは打たれた時だけという難儀なポジションだ。

 これが田島慎二ならば「東京ドームで田島を使う方が悪い!」と苦笑交じりに語ることもできようものだが(田島ごめん)、4失点以上を喫するのが極めて稀な祖父江となると、どうしても擁護が先に来てしまうのは甘すぎるだろうか。

 試合後の立浪監督は「一年間やってもらわないといけない。尾を引かないように。次の登板もそういうところで行きますから、頑張ってくれればいいかなと」と全面擁護の構え。

 やられ方が少々派手すぎた感はあるものの、まあ東京ドームってそういう球場だし。もし明日、同じ展開で7回裏に祖父江が出てきても納得する準備はできている。それが「信頼」ってものだろう。

福留凡退の数はファンがため息をついた数でもある

 もしやり直すが効くとしても、リリーフに関してはせいぜいジャリエルの7回投入(で、8回祖父江)くらいしか思いつかない。悔いが残るのはむしろ攻撃の方。9回表、無死一、二塁。三ツ俣大樹に代えて代打で登場したのは、福留孝介だった。

 既にシーズンの4分の1を消化したが、その成績欄には未だに「0」が3つ並ぶ。18打数ノーヒット。思えば45歳の大ベテランの苦悩は、「3番レフト」でスタメン出場したこの球場から始まった。「代打の切り札」という役割で、終盤の大事な場面で登場することが多いからこそ責任重大。福留凡退の数はファンがため息をついた数でもある。

 立浪監督の意図は分かる。どデカイ一発で試合を振り出しに戻す、そんな夢を見せてくれそうな雰囲気をこの背番号9は纏っているのだ。ただ、残念ながら今日も結果は出なかった。高めのストレートを捉えるも、伸びはなくセンターフライに倒れた。150キロ超をコンスタントに投じるデラロサの球威は、45歳の動体視力と反射神経にはシビアに思えてならなかった。

 まさかチャンスで福留が打席に立って、不安が先に立つ日がくるとは……。かつて絶大だった福留の「信頼」は、風前の灯火となりつつある。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

立浪監督「次もそういうところで」逆転満塁弾浴び5失点でも祖父江への信頼崩さず【中日】:中日スポーツ・東京中日スポーツ