不動のリードオフマンが離脱――。
4月29日、大島洋平の登録抹消はチームに暗い影を落とした。同日のナイターは大瀬良大地にあっさりと完封負け。ゴールデンウィーク初日から憂鬱な気分にさせるには十分なものだった。
ただ、チームは翌日から2連勝。“大島ショック”を和らげた立役者は、鵜飼航丞、岡林勇希、石川昂弥の平均年齢20.7歳からなる1~3番トリオだ。
今回はその中から、岡林について記していこうと思う。
最高の滑り出しも徐々に力負け
キャンプ、オープン戦を通じて猛アピールを続け、開幕スタメンをつかんだ背番号60。巨人との開幕戦では、立浪和義監督に初得点をもたらす適時打。いきなり猛打賞をマークすると、翌々日の試合でも再び3安打の固め打ち。さらに、4月2日の広島戦では栗林良吏からサヨナラ打。滑り出しは最高だった。
しかし、連戦の疲れに加え、オープン戦終盤に痛めた右手指の故障が響いたのか、打率は日に日に低下。強く引っ張れたボールにもいつしか力負けし、三塁方向にフラフラとした飛球の山が積み重なった。
ついには4月17日の広島戦で今季初のスタメン落ち。定位置を掴みかけた右翼には平田良介や鵜飼が入るように。「ヘタクソは練習するだけ」と根性は見せるも、なかなか結果に結びつかなかった。
潮目が変わった新打線
そんな中で起こった大島の故障。打率.354はリーグトップ、OPSもチーム1の数字(.863)を残していた男が離脱するのは、間違いなくマイナス。非常事態だ。
岡林は28日の阪神戦でスタメンに入るが「守備範囲も広い」(立浪監督)と、最低限守りでの破綻を起こさないような起用に感じられた。打撃面ではバント失敗を犯すなど、4打数ノーヒット。この日を終わっての打率はシーズン最低の.224に落ち込んだ。
潮目が変わったのは30日。指揮官は「1番・鵜飼、2番・岡林、3番・石川昂」の若手による上位打線を組み、岡林は3安打をマーク。1カ月ぶりの猛打賞に加え、先制点につながる盗塁を決めた。チームも連敗を3で止め、新打線の機能に一役買った。
鵜飼、石川昂の両大砲に挟まれるということは、必然的に潤滑油のような役割を求められる。この日の岡林は100%期待に応えたと言えよう。翌日の試合でも先制のきっかけを作るヒットを放ち、チャンスメーカーぶりを発揮。何より、引っ張ってのライト前というのが良い。
大島が戻っても中堅を守る気概を
筆者は開幕戦の観戦後、岡林について「“覇気”を見せてくれたら、それでいい」と記した。1カ月の間で浮き沈みを経験、それでも覇気は失っていない。気づけば右手を覆っていたテーピングも取れて、いよいよ全開の予感がする。
少なくとも大島が戻るまでは、岡林がセンターのポジションをガッチリ掴むだろう。立浪ドラゴンズの申し子は今後も必死に食らい続けるだろうし、何なら大島が戻ってもセンターを守り続ける気概を見せてもらいたい。
最後にひと言。登場曲にあやかって、「行くしかないだろう!」。
Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter
<コメント引用>
中日スポーツ『岡林勇希「ヘタクソは練習するだけ」黙々とバット振る 17日広島戦で今季初スタメン落ち【中日】』(4月18日)
https://www.chunichi.co.jp/article/455413
日刊スポーツ『【中日】立浪和義監督「ずるずるいかないように」2戦連続守備ミスで連敗…貯金0に/一問一答』(4月28日)
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202204280001394.html