●1-7DeNA(5回戦:横浜スタジアム)
普段優しい先生ほど怒らせるとヤバいのは常識である。では、普段からヤバい先生を怒らせるとどうなるのか? 一言でいえば……「地獄」。
ゴールデンウィーク真っ只中、晴天にも恵まれて大勢の観客で賑わった今日のハマスタ。だが三塁側ベンチでは、そんな行楽気分とは程遠い地獄絵図が繰り広げられていた。
事件が起こったのは4回裏、DeNAの攻撃中のことだった。先頭・大和のショートゴロに京田陽太が一旦は追いつきながら、これが手につかず出塁を許してしまう。記録は内野安打。もしアウトにできていればファインプレーと呼べるような難しい打球ではあったが、守備に定評のある京田ならば捕って欲しかったし、捕らねばならなかった。
その直後に岡田俊哉が先制2ランを浴び、このプレーが余計に悪印象を与えたのは少々気の毒ではある。8年ぶり先発の岡田の足を引っ張るような拙守。試合展開的にも痛いプレーだったのは間違いないが、指揮官の怒りは想像を絶するものだったようだ。
続く5回表、1死から打順は8番に回ったが、京田が打席に現れることはなかった。出てきたのは同じ左打者の溝脇隼人。故障したのでなければ、“懲罰交代” であることは誰の目にも明らかだった。
ただ、これまでも懲罰らしい交代やエラー翌日のベンチスタートはあった。ところが今日は様子が違う。試合途中からベンチに背番号1の姿はなく、ファンから心配の声があがり始めた頃には(おそらく)下りの新幹線に乗車していたのだ。
立浪監督「顔を見ていても全く精彩がない。であれば2軍でやり直してこいということで途中で代えました。なかなか結果出ないと本人も一番苦しいでしょうけど、気を使って何とかさせようというふうにやってはいたんですけど、もう戦う顔をしていないんで外しました」(スポーツ報知)
立浪が選手個人に対してここまで厳しいコメントを出すのは初めてのことだ。よほど腹に据えかねたのだろう。特に京田のことは常日頃から擁護をし続けていただけに、その怒りの度合いが計り知れる。
果たしてこの時期の新幹線に新横浜からすんなりと乗車できたのか? という疑問はともかく、「下を向くヤツは使わない」と豪語する立浪監督の有言実行っぷり。しかも京田ほどのキャリアのある選手でも容赦なく “強制送還” の対象になるというのは、他の選手にとってもかなり背筋が伸びる出来事になったのではないだろうか。
立浪監督は背番号3の後継者をどんな目で見つめているのだろう
残念だったのは、この京田の交代のあとも不甲斐ないプレーが続いたことだ。特に7回表、先頭の阿部寿樹が二塁打で出塁したあと、続く高橋周平があっさりと4球で空振り三振を喫したのは心底ガッカリした。
初回には2死満塁から見逃し三振。どちらも一本出ていれば試合の流れが大きく変わる場面だっただけに、11年目のベテランがランナーを動かすことすらできずに顔をしかめて打席を後にする姿は見たくなかった。
ここまで5試合に出場して4本の安打はすべてシングル。二塁守備も当然ながら阿部に劣る中で、高橋はバッティングでアピールするしかない立場だ。近年は打撃成績も低迷。既に不動のレギュラーからは脱落しかかっているといっても過言ではない。
現役時代、22シーズンにわたり活躍した立浪監督は背番号3の後継者をどんな目で見つめているのだろう。もちろん同じ背番号だからって特別扱いする気はさらさら無いはずだ。打つにせよ守るにせよ、くれぐれも立浪監督を怒らせないように……。