ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「聖域」へのメス~気がかりな福留孝介の2三振

●4-12ヤクルト(4回戦:バンテリンドーム)

「点の取られ方が悪すぎました。同じことを繰り返さないように、次回の登板に向けて修正していきます」スポーツ報知

 4回8安打6失点(自責5)とまさかの炎上となった大野雄大。初回、簡単に2死を取ったところまではよかったが、続く3番・山田哲人、4番・村上宗隆に連続四球を許すと、塩見泰隆にセンターへのタイムリーツーベースを打たれて2点を献上。なるほど、確かに「点の取られ方が悪すぎ」たのはその通りである。

 ただし山田、村上を警戒し過ぎるほど警戒するのは間違いではなく、塩見への一球を悔やむのも結果論に過ぎない。むしろその後、味方のエラー絡みとはいえ6失点まで傷口を広げてしまったのが残念だった。

 どんなにいい投手でもエアポケットに入ったように打ち込まれる日があるのは、先日の広島・森下暢仁との対戦で「やる側」から実感したわけだが、大野の場合は1イニングに大量点を失ったわけではなく、満遍なく失点を重ねた。だからこそ、防げた失点もあったのではないかと思ってしまう。

 誰だって、不調な日はあるものだ。今日はいまいち思いやりに欠ける日だったとか、生きてりゃ誰でも家に帰れば後悔や反省に苛まれることばかりだ。しかし、エースと呼ばれる立場の投手にそれは許されない。ましてや本拠地でのカード初戦は勝利が義務づけられているといっても過言ではない。

 3点目までは仕方ない面もあったが、4回表に喫した2本のタイムリーはあきらかに余計だった。サイスニードのバント失敗で2死まで漕ぎつけながら、そこからの2失点。そういえば開幕戦の巨人戦でも、2死から一挙に打ち込まれる場面があった。もったいないの一言で片づけるのは簡単だが、劣勢になると気持ちが切れたように連打を浴びがちになるのが少し気がかりだ。

立浪監督なら、躊躇いなく「聖域」にメスを入れることだって十分考えられる

 気がかりといえば、打つ方では福留孝介の状態が一向に上がる気配がない。6回裏、無死一、二塁のチャンス。この日2打席ノー感じのアリエルの代打で登場したものの、6球粘った末に空振り三振を喫した。そのまま守備に就き、8回裏の2打席目でも全くタイミングが合わず空振り三振。これで今季通算11タコ。三振は早くも6つめを数える。

 今日の2打席は、復調を願う立浪監督の親心を感じると同時に、シビアに篩(ふるい)にかけたような印象も受けた。二軍では石岡諒太、郡司裕也が好調を維持。高橋周平、福田永将という出遅れ組も復帰してきた。今か今かと昇格を待ちわびているのは、一人や二人じゃないのだ。

 即決即断に定評のある立浪監督ならば、あるいは躊躇いなく「聖域」にメスを入れることだって十分考えられる。はっきり言って今日の2三振は、決断の背中を押すには十分すぎるほど説得力があった。

 ただ、一方でこれで終わりじゃないと信じたい自分がいるのも確かで。「代打・福留」のコールにテンションがぶち上がるのは今でもそうだし、福留なら何かやってくれるのではないかという漠然とした期待を感じてしまうのも、同世代のファンなら共感してもらえるはずだ。

 全盛期から15年以上が経ち、街の景色もチームの形も、ずいぶんと変わってしまった。でも福留だけは変わらずにずっとヒーローであり続ける。そんな幻想にもそろそろ終止符を打つ時が来たのかもしれない。

 でも、せめてあと1打席。ここぞの場面で使って欲しいと思うのは古参ファンのエゴだろうか。ちょうど15年くらい前に流行ったギャグでいうならば「あまーい!甘すぎるよ」といったところか。それでも私は、福留孝介の雄姿を見ていたいのだ。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter