ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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相手クローザーを崩しての逆転サヨナラ! でも忘れてならない笠原祥太郎の好投

○4x-3広島(2回戦:バンテリンドーム)

 いやはや、野球は最後まで何が起こるか分からないものだ。正直言うと、坂倉将吾の犠飛で勝ち越された瞬間、ドラゴンズの勝ちを九割方諦めていた。

 なぜか。広島にはまだ栗林良吏が残っていた。昨季53登板中、失点を喫したのはわずか4試合。バンテリンドームナゴヤでは防御率0.00と、難攻不落のクローザーなのだ。

サヨナラヒットは4年ぶり

 12回裏、やはり栗林がマウンドに上がった。そして、石垣雅海が初球で凡退。この時点で九分九厘負けを覚悟した。

 だが、事態は風雲急を告げる。溝脇隼人がファウルで粘り、四球をもぎ取る。まだ場内は軽くざわつくだけで、誤差の範囲。と思ったら、大島洋平が右中間突破の三塁打で同点に。続く岡林勇希の一打で、イッキにサヨナラまで持っていった。

 得点圏を何度も逃し、ヤキモキさせられた上でのカタルシス。ただ、一塁ベース上で生まれた歓喜の輪は控えめだった。昨季のサヨナラ勝ちは押し出しでの1回のみ、本塁打を除くヒットでの決着はなんと2018年以来というから、喜び方を忘れてしまったのかもしれない(内野安打だったのもあったか)。

 今季は終盤に粘りを見せることが多いドラゴンズ。サヨナラ勝ちも増える気がする。回数を重ねていくと、喜び方も洗練されることだろう。

笠原のピッチングスタイル

 忘れてはならないのが、先発・笠原祥太郎のピッチングだ。今季初マウンドで6回3安打2失点の好投。白星こそならなかったが、森下暢仁を向こうに回し、堂々と渡り合った。

 140キロに満たない球速で誤解されがちだが、笠原は本格派サウスポーである。ストライクゾーンに直球を投げ込み、ファウルや空振りを奪い、カーブやチェンジアップとの緩急で凡打の山を築く。今日は特に直球の質が高値安定していた。

 加えて、カットボールとスクリュー系の「中間球」の制球が良かった。カットボールこそ末包昇太にホームランされたものの、2球種とも両サイドにコントロールできており、カウント球にも決め球にも有効だった。

 走者がいない時のテンポの良さも無理なくやっていた印象だし、今後もローテの一角に残りそうな予感だ。小笠原慎之介のコロナ陽性で盤石の先発陣にヒビが入りかけていたが、また貴重なピースが戻ってきた。

Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter