ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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センター岡林勇希、レフト大島洋平の布陣に近未来をみた!

●0-4-DeNA(1回戦:バンテリンドーム)

 稀にみる大逆転劇の勢いそのままに、立浪ドラゴンズがナゴヤに帰ってきた。開幕3連敗で本拠地開幕なんてことになれば、いきなりお通夜ムードが漂っていたところだが、驚異的な粘り勝ちによりムードはあきらかに追い風。オープン戦から火力不足が不安視される打線も、東京ドームでは3試合で14得点と、「打てない、打てない」と言う割には活発に働いた印象だ。

 立ちはだかるは昨年3勝を献上した苦手・ロメロ。なんでも「去年3勝? なら明日は4勝目だね」などと小癪(こしゃく)なコメントをぬかしていたそうで。この天敵を打ち砕いてこそ、今年の中日は違うぞと確信できるというもの。かっちょいいオープニングムービーに気分も盛り上がり、「行ける!」という雰囲気は確かに感じたのだが……。終わってみれば平常運行の凡戦。勇んでドームに足を運んだ地元ファンもさぞかし肩を落としていることだろう。

たまげた 大島洋平のレフト起用

 試合はともかく、驚いたのは今日のスタメンである。まず2番に京田陽太。そして3番に大島洋平。トップバッター岡林勇希からノーパワー打者を3人ならべる打順の意図は、このあと明らかになる。そう、6番に入ったのは開幕3試合で出場機会のなかった根尾昂だったのだ。おそらく立浪監督のなかでは、「開幕投手・大野雄大」「開幕3番・福留孝介」と同列に、「本拠地開幕戦スタメン・根尾」の起用は随分前から決まっていたのではないかと思う。

 たしかに根尾は絵になる男だ。球場でもついその姿を探し、追いかけてしまう。生まれ持ったスター性を持つ選手だから、もし根尾が打てば球場全体が相当な盛り上がりに包まれるのは想像に難くない。そう、去年の満塁ホームランの時みたいに。

 一方で、根尾を使うとなると打順の組み方が難しくなるのも否めない。大島の3番起用には過去の経験から否定的な意見が散見されるが、仮に阿部寿樹を3番に置くと、今度は5番、6番の使い方に悩むことになる。要は岡林、京田、大島、根尾の4選手を同時にスタメンで使うのは、現状ではいささかムリがあると言わざるを得ない。

 ただ、持ち味である強肩を生かせるライトで根尾を起用するために、前試合までライトを守った岡林をセンターに、そして不動のセンター大島をレフトに回した起用には、一言でいえば「たまげた」。もちろん肯定的な意味で。3月13日のオープン戦(対オリックス)でレフト大島を断行した際にも書いたのだが、いずれ直面する問題を先送りにせず、即決即断できる意志の強さは立浪監督の長所だ。

 鉄人・大島も今年で37歳を迎える。早晩おとずれる衰えとの戦いを見据え、正統的な後継者といえる岡林にセンターの経験を積ませる。誰が考えても必要なことではあるが、大島の築き上げた実績とプライドを重んじたときに、並みの監督ならそう易々とは実行に踏み切れないのではないだろうか。

 だが立浪監督は、やるのだ。オープン戦で試した上で、本拠地開幕戦で早速やってのける。近未来のビジョンが明確に描けているからこその采配。今日だけをみれば2番京田、3番大島、6番根尾という打線はあきらかに迫力不足で、ロメロに終始見下ろされながらの攻撃になってしまったのは残念だったが、それでも「レフト大島、センター岡林」という、2、3年後のデフォになるであろう布陣が一足早く実現しただけでも価値のある試合だったといえよう。

 さて、こうなると次に立浪はどんな手を打ってくるのか? いや、どんな近未来を見せてくれるのか。そんなところを予想するのも今年の立浪ドラゴンズの楽しみ方のひとつだろう。ちなみにオープン戦で試して、まだ公式戦でやっていない起用というと……「4番・鵜飼航丞」、近いうちにあるでよ。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

【DeNA】“ドラキラー” ロメロ「あしたは4勝目になるだろう」竜打線封じ開幕連敗ストップに自信:中日スポーツ・東京中日スポーツ