ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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何事も当てにはできない〜立浪政権の分岐点がはやくも⁉︎〜

●5-7巨人(2回戦:東京ドーム)

 開幕2戦目。北のBIGBOSSみたいなド派手なパフォーマンスではなくとも、立浪監督が大胆な手を打ってきた。福留孝介に代わり、ルーキーの鵜飼航丞を6番に抜擢。外の変化球に苦労しているため、高速スライダーが武器の山﨑伊織と対峙する本日よりも、大学時代に対戦経験がある赤星優志が登板する明日だろうと予想していたので、意外だった。

 並みの新人ならば、3打席連続三振で交代させられていたかもしれない。ところが、背番号4は第1打席で三塁線を襲うプロ初安打。空振りや詰まることを恐れないスイングをこれからも貫いてほしい。おめでとう。

良いまさか

「野球は分からない!」

 実況の日本テレビ・上重聡アナが発した一言に全てが凝縮されていた。

 好投の山﨑はプロ初勝利の権利を得るまであと1死。2死から京田陽太に内野安打を許してしまったが、次はプロ通算50打数4安打の投手・勝野昌慶。打撃は全く当てにならない。しかしながら、気が付いた時には打球がレフトスタンドに突き刺さっていた。

 24年前の夏。上重アナがPL学園のエースとして、松坂大輔擁する横浜と繰り広げた延長17回の死闘は、2死走者なしからの失策がきっかけで決着した。決勝点は直後の打者に浴びたホームラン。打ったのは伏兵・常盤良太。伝説の名勝負がフラッシュバックした。野球の怖さを人一倍味わった男の言葉は、どのアナウンサーの美辞麗句よりも重みがある。

 ありえない展開に、プロ初登板の2年目は茫然自失。とはいうものの、単なる偶然と片付けるのは早計ではないだろうか。

 打席が回ってきたシチュエーションは絶妙だった。2死とはいえ、1点を追う場面。しかも、勝野の球数は4回終了時点で80球を超えている。少々気の早い監督ならば、勝負の一手を切っても不思議ではない。

 ただ、 代打が出なかったことが巨人バッテリーに隙を生んだ。せめて打席に立つのが打撃に腕のある投手ならば、もっと用心した配球をしたことだろう。1ボールからの2球目、大城卓三は外角低めに構えたが、逆球となってしまった。打たれることを想定しているならば、左打席方向に引っ掛ける投球をしたことだろう。「ボールでOK」とせず、安易にストライクを欲しがったことが仇となった。

 そして何より、奇跡をもたらしたのは勝野自身の悪あがきだ。ビハインドで打順が回っても、打席を放棄する投手は一定数いる。ホームベースに近づかず、「打順調整」しているだけでは何も起こらない。指名打者制の導入が叫ばれている昨今、自らのバットでケジメをつける漢がもっといてほしい。投手は投げることだけが仕事ではないのだから。

良くないまさか

 計算外の出来事はこれだけではなかった。8回裏、移籍後初登板の岩嵜翔がアクシデントで緊急降板。ドラゴンズが見せた綻びを見逃してくれるはずもなく、一挙5失点。スクランブル登板とはいえ、大量失点を許してしまった中継ぎ陣の不安が露呈したといえよう。

 強力な救援陣を武器に戦ってきたチームとはいえ、勝ちパターンで登板する投手と、それ以外の投手の力量差が顕著になっている。オープン戦最終戦となったロッテ戦も、先発の高橋宏斗の後を継いだ面々の多くが不安定な投球に終始した。

 しかしながら、背番号16は違った。走者を置いた場面でも一切動じることなく打者を料理する様は、職人の域。14年のプロ生活で300試合近くに登板し、タイトルホルダーでもある。首脳陣も自信を持ってのセットアッパー起用だったはずだ。

 先日二軍戦で登板したものの、祖父江大輔は開幕二軍スタート。おまけに岩嵜が離脱となれば、踏んだり蹴ったりだ。試合後の立浪監督の談話によると、肘に異常をきたしたようだ。過去にも故障している箇所なだけに、軽傷であることを祈るほかない。

 強風と大雨で肌寒い夜になった。今夜は湯豆腐でも作ろうかと思う。若手の活躍をアテに熱燗を堪能したい。でも、故障者が出たこと、勝負に負けたことを嘆くやけ酒に量が多くなりすぎて、胆のうが悪くならないように用心しながら。

(k-yad)