ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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襲いくる「ライブハウス東京ドーム」!トラウマ更新の田島慎二

●5-7巨人(2回戦:東京ドーム)

 今夜の我が家の夕飯はすき焼き。何もプロ野球開幕にかこつけてそうした訳ではないが、立浪ドラゴンズの船出と初勝利にはうってつけの御馳走だとニヤニヤしながら祝杯の準備をしていたわけである。だが、用意した飛騨牛600グラムもろとも “勝利の美酒” になるはずだったスーパードライは無念のやけ酒になってしまった。

 いったい何が起きたのか、今は思い出そうとするだけで軽く目まいがする。ただ一ついえるのは、「田島さん、またトラウマ増えちゃったね」という慰めにもならない皮肉だけ。思い出すのは2017年の開幕カード、未だに脳裏に焼き付いて離れない「開幕2戦目の悪夢」だ。敢えて詳しくは記述しないが、あの時も掴みかけた勝利をタジ魔神の乱調で手放してしまうという展開だった。

 その後も田島はなぜか東京ドームに来ると打ち込まれるケースが異常に目立ち、以来「田島は東京ドームで投げさせてはいけない」がファンの間での共通認識となっていた。だから昨日、2点ビハインドで投入したのも驚いたのだが、いくら緊急登板とはいえ僅差リードで田島を出すのは、結果論ではなく「ヤバイ」と感じた人も多かったはずだ。そして予感というのは、悪いことに限ってよく的中する。

 もしかすると立浪監督は、田島と東京ドームの相性の悪さを認識していなかったのだろうか。パ・リーグや韓国にいた落合コーチは知らなかったとしてもおかしくない。ただ、今日に関しては田島どうこうではなく誰を出しても同じ結果になっていた気がする。“流れ” なんて現象はオカルトだと一笑に付す向きもあるが、少なくとも東京ドームには “流れ” は存在すると感じる。

 その秘密は、たぶん昨日も書いたようにこの球場の演出にある、と私は思う。

ドーム全体が渾然となって作り出す “流れ” を止めるのは至難の業

「ライブハウス武道館へようこそ!」とBOØWY・氷室京介が叫んだのは1986年のことだが、その2年後に誕生した東京ドームはかつて音響の悪いコンサート会場として有名だった。あくまで野球を念頭に設計されているのだから無理もない。ただ、何度かのリニューアルを経て評判の低かった音響は徐々に改善され、過去最大規模といわれる今回のリニューアルでは従来の4.4倍に広がった面積1,050m2の超大型スクリーンを用いた「映像・光・音の融合」がテーマの迫力ある演出を実現。

 実際に現地で体感したが、派手な映像演出に加えてラップやEDMがガンガン鳴り響く様は、野球場というよりはクラブ系フェスのようだった。コロナ禍以前の野球場は応援団のトランペットや太鼓の音色が夏祭り的な雰囲気を醸し出していたが、録音の応援歌を流す現在の方式だと映像や音響といった場内演出が、ムードを作るうえでの重要な要素になっていくのかもしれない。

 “悪夢” としか表現できない8回裏の猛攻。ランナーが溜まり、3点差を跳ね返せるのではという期待感が高まるにつれて巨人ファンのボルテージはぶちアガり、それを球場演出が爆音響かせながら後押しする。その様はまるでキラーチューンのイントロが流れた瞬間のライブ会場のようであった。

 Perfumeでいうところの「エレクトロ・ワールド」、サカナクションなら「セントレイ」。今日の場合、イントロもとい導火線は岡本和真のセンター前ヒットだったと思う。無死一、二塁。モッシュやダイブこそないものの、ドーム全体が渾然となって作り出す “流れ” を止めるのは至難の業だ。福敬登、山本拓実と次々とカードを切っても焼け石に水というもの。アガりまくる巨人ファンに対し、こちとら頭の中をぐるぐる回るのは吉田拓郎「人間なんて」の侘しいフレーズ。

 残ったのは3点差をひっくり返されたという結果と、田島のトラウマが上書きされたこと、そして岩嵜翔の故障という痛すぎる現実だけだった。

 今日の収穫は、中日が勝っても負けてもすき焼きは美味かったこと。以上!

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

三井不動産 |東京ドーム 過去最大規模のリニューアルとDXを実施