ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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オープン戦終了! 目立った若手の躍動と、中堅ベテラン勢の不甲斐なさ

●2-10ロッテ(オープン戦:バンテリンドーム)

 高橋宏斗は宇宙だぁぁ! と大声で叫びながら町中を走り回りたくてたまらなかった。祝日の真昼間から30過ぎの男がこんな事したら即・通報案件だろう。さすがに前科を付けたくないのでかろうじて思い留まったが、胸の内の高揚感はそう簡単には収まらなかった。

 オープン戦最終戦の主役の座は、背番号19が一人で掻っ攫った。まさしく高橋宏斗ワンマンショー。高校時代から凄い凄いと聞いてはいたが、まさかここまでとんでもない逸材だとは。

 5.1回2安打1失点という結果以上のインパクトは、11奪三振という数字が物語っている。先発9人のうちレアードを除く8人から三振をとり、11個中9個が空振りという圧巻の投球。打者の不意をつく見逃し三振が「芸術」なら、打者の打ち気を球威で捻じ伏せる空振り三振は「暴力」だ。それも豪速球で押しまくるだけの手荒な暴力にあらず、カットボール、スプリット、時にはカーブも織り交ぜた多種多様な攻撃で打者を追い詰める、洗練された暴力である。

 持ち球すべてを決め球に使える投手といえば柳裕也を連想するが、柳でさえこの境地に到達するまで大卒数年を要したことを思えば、高卒2年目の宏斗はいい意味で「おかしい」し、「異常」だと言わざるを得ない。しかも宏斗には安定して150キロ超を出すだけの馬力が備わっているのだ。

 私は安易に「史上最強」とか「今まで見たことない」という表現を使うのを好まないのだが、この高橋宏斗については長い球団史をひもといても “傑物” と言い切って差し支えないだろう。奥川恭伸や佐々木朗希といったバケモノ共と張り合えるだけのポテンシャルを持っていると思うし、何なら日本のエースになれる可能性だってある。

 無理させれば今季すぐに二桁勝てる実力は備わっていそうだが、体力面の不安があるのでとりあえずは “投げ抹消” で様子を見るのには賛成。底知れない逸材だからこそ、赤ん坊を布団で寝かせるような慎重さで育てる必要がある。

 中日スポーツによればデータサイエンス的にも昨年の秋口から球質に明らかな変化が生じたそうだが、いったい何がきっかけでそうなったのか。賛否両論を呼んだファームでの「直球縛り炎上晒し投げ」が劇的な効果をもたらしたとすれば、仁村二軍監督は逸材のポテンシャルを的確に覚醒に導いた有能指導者として崇拝されるべきだが、実際どうなのか。そのあたりの真実を宏斗に聞いてみたい気持ちでいっぱいだ。

やや保守的だった木下の交代

 宏斗の降板後も試合は続いていたそうだが、私の記憶には無いのでこれにて本日は終了。というわけにもいかないので、渋々ながら書く。

 ホーム6連戦という優位な日程にもかかわらず10年ぶりのオープン戦貯金フィニッシュを逃してしまったのは、はっきり言って無念でならない。特に今日は何がなんでも勝ちに行く姿勢を見せてもらいたかったのだが、0-0の4回限りで木下拓哉を交代した時点で「勝利は二の次」というベンチの思惑が見えてしまったのは、正直残念だった。

 正捕手かつ主軸の木下に無理をさせないのは合理的な選択ではあるが、「勝ち癖を付ける」という意気込みで臨んだオープン戦のラスト、それも勝ち越しのかかった一戦での采配としては、やや保守的だった感は否めない。

 ついでに中堅、ベテラン勢にも苦言を呈したい。今日長打を記録した石川昂弥、鵜飼航丞、好走塁の根尾昂、開幕微妙とはいえ3割をマークした岡林勇希と、オープン戦を通して若手のアピールが目立った一方で、高橋周平、京田陽太、谷元圭介といった主力が今ひとつパッとしなかったのは大いに不満ありだ。

 本来なら彼らに「さすが」と思わせてもらわなければ困るのだが、残念ながらそういう姿はほとんど見ることができなかった。むしろ44歳福留孝介の方が目立っているようではイカンだろう。

 一時は貯金2としながら、結局マイナス1で終えたオープン戦。いいモノも悪いモノも出た19試合だったが、泣いても笑っても開幕は4日後にやって来る。とりあえず今は、岡本和真が怖くて震えてます。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter