ちうにちを考える

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ギャンブル系の勝野昌慶、投げっぷりの森博人

△2-2楽天(オープン戦:バンテリンドーム)

 勝野か、岡野か、それとも……。一説には福谷浩司という選択肢もあるとかないとか。26日の開幕2戦目の先発マウンドを懸けた争いが、にわかに熱くなってきた。大野雄大と柳裕也のダブルエースの狭間という日程的に、リリーフ陣を惜しみなくつぎ込むことが想定されるが、もし今日の登板がテストの意味合いを持つとしたら、勝野昌慶は「表ローテ」の座をググっと引き寄せたことになる。

 今日がオープン戦初登板ながら140キロ代後半の真っすぐと得意のフォークを丁寧に投げ込み、、5回1安打無失点。二塁すら踏ませない完璧な内容で、“駆け込みローテ入り” へ猛アピールに成功した。

 思えばキャンプ前日に腰の違和感でリタイア1号となってからというもの、勝野の影はとにかく薄かった。無理もない。高橋宏斗や石川昂弥といった粋のいい若手が連日スポットライトを浴びる北谷に比べ、読谷はメディアの数も少なく、伝わってくるのも断片的な情報がほとんだった。当ブログでも今年に入ってから勝野に言及したことは一度も無かったと思う。

 いわば日陰で爪を研いだ1ヶ月間。しかし考えてみれば勝野は昨季91.1回を投げた実績を持ち、当然のようにローテ入りしなければならない立場の選手だ。調子に左右される不安定な投球が祟って、今ひとつ評価されないのが玉に瑕だが、怪我さえなければ先発陣の上から数えて6番目には優に入ってくる存在であるのは間違いない。

 事実、3月に実戦復帰を果たしてからは教育リーグで「格の違い」とも言えるような好投を続けた。片岡二軍監督も「準備はできていると思う。あとは一軍で結果を出すだけ」と太鼓判を押し、迎えたのが今日の最終試験だった。

 と、まあ、そんな事を書いているあいだに、立浪監督が開幕2戦目を勝野に託すと明言したというニュースが飛び込んできた。初めて開幕ローテ入りした昨季は5番手という扱いだったが、今年はより重責を担う。かつての山井大介ばりに調子の良し悪しが露骨に出るギャンブル系なだけに、果たしてどちらの勝野が出るか。一週間後が楽しみであると同時に、怖くもある。

“投げっぷり” の森博人

 いずれにせよ勝野が投げるのは6イニング程度だろう。そこからは前夜の大野雄大の完封で出番のなかったリリーフ陣(願望)による小刻みな継投で凌ぐことになるが、ここでもまた争いが勃発している。

 昨季まで2年間、勝ちパターンを支えた祖父江大輔が故障で出遅れが確定しており、また福敬登も故障明けとあって見切り発車の感が否めない。必然的に再編を余儀なくされる勝ちパターンだが、当面はジャリエル、岩嵜翔、ライデルの暴力速球トリオで固定する意向を立浪監督は示した。

 問題はそれ以外のリリーバーだ。この日打たれた谷元圭介、昨日打たれた田島慎二は結果もさる事ながら四球絡みの失点というベテランらしからぬ内容の印象が良くなく、開幕メンバー入りが怪しくなりつつある。期待されたルーキー石森大盛も現時点では課題が多く、二軍調整が濃厚。

 となると、オープン戦で好投をみせている山本拓実、清水達也、マルクの若手3人衆に当確ランプが灯り、残り1,2枠を不調の藤嶋健人、田島、谷元で競う形になるだろうか。

 だが、何かが足りない。確かに山本も清水もマルクもおもしろい素材に違いないが、圧倒的に何かが足りないのだ。そう、「投げっぷり」である。と言うと、最近はデータサイエンス勢から汚いモノでも見るかの如く冷たい視線を浴びせられるらしいが、そんなものは知ったこっちゃない。

 そんなわけで「投げっぷり」観点で個人的に推しているのが2年目の森博人だ。昨季は9月に昇格して12イニング15奪三振と片鱗を見せた快速右腕。教育リーグでは3試合3イニング無安打5奪三振と圧巻の投球をみせており、近々一軍に上がってくるものと思われる。

 2年前のドラフト時には「中日はドラ1を二人獲った」と評されるなどアマ時代からそのポテンシャルの高さは広く知られていた。まだ一軍登板は少ないが、頭にこびり付いて離れないシーンがある。

 忘れもしない、昨年9月24日のヤクルト戦。4番・村上宗隆に対して森は、なんと5球真っ直ぐのみで空振り三振を奪ったのだ。相手が誰であろうと臆する事なく真っ直ぐを投げ込む向こうっ気の強さ。森の投球を生で見れば、誰しもが「投げっぷりがいいね〜!」と唸ってしまうはずだ。投手に必要なものはノビ、キレ、投げっぷり。抽象的な表現サイコー!

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考】

片岡二軍監督コメント:

試行錯誤する中で「これだ」 進化カーブ武器に好投の中日・勝野、開幕ローテあきらめない【中日】:中日スポーツ・東京中日スポーツ

立浪監督コメント:

【中日】立浪和義監督、開幕2戦目のG戦を勝野昌慶に託す方針「ぜひ頑張ってもらいたい」 一問一答 : スポーツ報知