ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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4番の差で負けるのは勘弁! ビシエド心中の危うさ

△1-1楽天(オープン戦:バンテリンドーム)

「岡本、グランドスラム打ったってよ」

 ちょうど開幕まで一週間となり、各球団の開幕投手が一斉に登板した花金のオープン戦。我がドラゴンズも2年ぶり4度めの大舞台に立つことが決まっているエース大野雄大が、開幕前最後のマウンドに上った。

 結果だけみれば3回3安打無失点と無難にまとめた印象を受けるが、内容的にはボール先行の場面が目立ったり、2四球を許すなど決して万全とはいえない状態にみえた。オープン戦の防御率1.93という数字こそ立派なものだが、4度の登板で「さすが!」と唸るような投球が最後まで見られなかったのは、少し気がかりだ。15イニングで合計7奪三振と控えめなのも気になる。

 もっとも本人は「気合MAXで炎のピッチングをしたい」スポーツ報知と開幕に向けて闘志を燃やしており、いざシーズンのマウンドに立てば普段どおりの支配的な投球が戻ってくることだろう。ただ、大野に立ちはだかる巨人打線もここにきてポランコ、ウォーカーという新助っ人が合流し、臨戦モードに突入している。中でも警戒すべきは、やはり4番の岡本和真を置いて他にない。

 オープン戦では12試合39打席で5本塁打と格の違いを見せつけ、今夜も佐々木朗希から満塁本塁打をぶっ放す豪快な活躍で順調な調整ぶりをアピールしている。朴訥なルックスのせいか、松井秀喜や清原和博といった歴代の巨人不動の4番に比べて存在感が薄いのは否めないが、残している実績そのものは数十年に一人級の化け物である。

 どれだけ原監督が耄碌しようとも、打線の核である4番打者がどっしり構えていさえすれば巨人が大崩れする可能性は低いだろう、残念ながら。さらに今季はあの丸佳浩が下位打線に回されるなんて話も出ている。中田翔はまるで昨年のゴタゴタなどすっかり忘れたかのように暴れまくっていて、これで外国人が「当たり」なら、いったい巨人打線はどうなってしまうのか。

危うかろうが「ビシエド心中」という形をとらざるを得ない

 一方で慢性的な貧打から抜け出せずにいるのがドラゴンズだ。今日も併殺間の1点のみと寂しい内容に終わったが、若手に当たりが戻ったのはよかった。中村紀洋コーチ直伝の打撃フォームを断念した石川昂弥が、水を得た魚のように快音を響かせたのをはじめ、14打席連続無安打とスランプに陥っていた鵜飼航丞にも「らしい」当たりの二塁打が飛び出した。打った相手が則本昂大というのも彼らにとっては自信になるはずだ。

 しかし、本来なら当たり前のようにヒットを量産しなければならないレギュラー陣に元気がないのは問題だ。2死二、三塁の好機に凡退した京田陽太、9回裏最後にゲッツーを叩いた高橋周平。そしてなんといっても不動の4番・ビシエドのバットが湿りっぱなしでは得点が入るわけもなく……。

 元来オープン戦では打たないことで知られるビシエドとはいえ、さすがに長打なしの打率.179では心配するなという方が難しい。ましてや今年のビシエドは、立浪監督から「40本指令」を受けているのだ。この話を耳にしたとき、今年は本塁打狙いのニュー・ビシエドが見られるのかと楽しみにしていたのだが、今のところは昨季までの調子が悪い時のビシエドと何ら変わりはなく、40発を打つ気配は一切ないといっても過言ではない。かたや40本どころか50本でも打ちそうな勢いの巨人・岡本。「4番の差で負けた」、一週間後にこんな事を呟くのだけはご勘弁願いたい。

 それでもビシエドとアリエルの長打覚醒に懸けた今季は代わりの4番候補もみあたらず、開幕してどれだけ調子が悪かろうと、危うかろうと「ビシエド心中」という形をとらざるを得ないのが苦しいところである。たとえば石川や鵜飼に思い切って4番を打たせるにせよ、それはまだペナントレースの趨勢が決したあとの話だろう。

 他球団の新外国人を眺めながら「いいなーいいなー」と指をくわえて羨ましがるという不憫な境遇を味わっているのは、12球団見渡しても中日ファンだけ。せめて一人くらい取っとけよ! という願いもむなしく、球団a.k.a大島オーナーに重い腰を上げる気配はなさそうだ。「2億円の外国人獲ります」、このたった一言でたちまち辣腕オーナーの名を欲しいままにできるのだ。立ち上がれ、宇一郎よ。今こそお前の本当の力を見せてくれ!

 どうでもいいけど、こんな状況にもかかわらず誰一人として「だーかーらー、ガーバー残しとけって言ったんだよ」ってな意見を言い出さないあたり、ガーバーはマジもんのハズレだったんだなぁと妙に感心してしまったりもするのであった。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter