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梅津がTJ手術…過酷なリハビリを思う

 梅津晃大が右肘内側側副靱帯の再建手術、いわゆるトミー・ジョン手術(以下、TJ手術)を受けるそうだ。今朝の『中日スポーツ』と『スポーツ報知』がスクープしている。

 ドラゴンズ所属投手のTJ手術といえば、直近だと田島慎二の例が挙げられる。田島は一昨年4月に手術を受け、翌2021年7月に一軍のマウンドに帰還。その間、ざっと1年3カ月。症状に多少の差はあるかもしれないが、少なくとも1年は実戦機会から遠ざかるだろう。

 本人は「手術を許可していただいた球団には感謝しています」とコメント。大卒4年目、勝負の決断である。

TJ手術のメリデメ

 TJ手術は成功率の高い手術とされ、近年多くの投手がメスを入れている。田島の例を見ても1年間はリハビリの過程に身を置くことになりそうで、根本的な投球フォームの見直しなどにも時間を費やせる。また、無意識のうちに肘をかばうことで肩を痛めるリスクも回避できる。そして、これは有名な話だが、球速が上がるケースも散見される。

 一方、手術後に以前と同じパフォーマンスができる可能性は67%、復帰できない例も20%あるというデータが存在。150キロ超の快速球が武器の梅津にとっては、スタイルチェンジを余儀なくされるかもしれない。

大谷翔平と松坂大輔の例

 過酷で長いと言われるTJ手術後のリハビリ。梅津は何を支えに頑張るのか、ついつい思いを馳せてしまう。すると、2人の前例が思い浮かんだ。大谷翔平と松坂大輔ーーいずれも梅津が「憧れの人」と公言する右腕だ。

 大谷はメジャー1年目の2018年9月にTJ手術を決断。翌年は打者に専念しながらリハビリを行い、復帰登板を果たしたのは20年7月。コロナ禍があったとはいえ、およそ2年をかけてマウンドに戻ってきた。

 直後に右屈曲回内筋群の損傷を負い、この年はわずか2登板に終わったものの、翌21年シーズンは9勝をマーク。速球のスピードは引き続き160キロ前後を連発している。また、バットでも46本塁打を放ち、世界が誇る二刀流プレーヤーに進化を遂げたのはご承知のとおりだ。

 松坂はレッドソックス時代の2011年6月にTJ手術を敢行し、翌年6月に復帰。ここでもやはり1年はかかっている。以後はそれまでの酷使がたたったのか、球速が徐々に低下。ボールを動かす投球スタイルに変更を余儀なくされた。

 もがき苦しむシーズンが続く中、ドラゴンズにやってきた2018年に6勝を挙げ、カムバック賞を受賞。この翌年に梅津が入団し、20年シーズンからは「18」番を継承。松坂の引退時に梅津は「これから番号に似合う活躍ができるように頑張りたい」と意気込んでいた。

再びエースポテンシャルを

 大谷と松坂という球界のスーパースターを思い浮かべるほど、梅津のポテンシャルは無限大だ。エースポテンシャルを持つ人間は限られるし、これまでもその期待を一身に背負ってきた。しかし、ここで一旦リセットのときがやってきた。

 エースポテンシャルを最後に発揮したのは20年8月のヤクルト戦、10回無失点の大熱投だった。あの試合は勝ちを付けられなかったし、これで終わりにはしたくない。

「1軍に復帰して1球目、今までで最高のボールを投げられるように頑張っていきます」。梅津のこの言葉を信じて、復活の時を待ちたいと思う。

Ikki KAGA (@ikki_0306) | Twitter

 

<コメント引用・参考>

『中日スポーツ』【中日】梅津が18日に右肘トミージョン手術、春キャンプ終盤に痛み…復帰まで1年(2022年3月18日)

https://www.chunichi.co.jp/article/436506

『スポーツ報知』【中日】将来のエース候補・梅津晃大が18日右肘手術…トミー・ジョンで復帰まで1年以上(2022年3月18日)

https://hochi.news/articles/20220317-OHT1T51218.html?page=1

『スポーツナビ』大谷翔平に手術を決断させた心境 「一番いいものを選んだ」と前向き(2018年9月27日)

https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201809270004-spnavi

『日刊スポーツ』松坂の右肘手術成功、倫世夫人付き添う(2011年6月11日)

https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/f-bb-tp2-20110611-788736.html

『スポーツ報知』【中日】梅津晃大、尊敬する松坂大輔の引退に「番号に似合う活躍ができるように」18番での活躍誓う(2021年7月7日)

https://hochi.news/articles/20210707-OHT1T51129.html?page=1