ちうにちを考える

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代役クローザー~勝ちパターンもあるぞ!マルクの挑戦

 4回2失点ではあったものの、最速153キロを武器に先発の高橋宏斗が試合を壊さずに予定イニングを投げきると、鵜飼航丞が特大の一発をレフトスタンドに叩き込み、逆転勝利をもぎ取った。好調の阿部寿樹はダメ押しの2点タイムリーを放つなどアピールに成功。見どころの多い試合となった。

 8回に岩嵜翔がオープン戦初登板。馴れた福岡の地での対外試合デビューはランナーを背負ったものの無失点に切り抜けた。おそらく開幕してからは今日の8回が仕事場となると思われるが、これで中日ドラゴンズ・岩嵜翔が本格的にチームの戦力となってフル回転していくことになるだろう。

オープン戦序盤の楽しみ方

 この時期のオープン戦はイニングを追うごとに主力がベンチに退く調整段階。「C」マークをつけた大島洋平は今日も1打席でお役御免、相手の柳田悠岐も2打席で今日の役目を終え、ベンチから戦況を見守った。こうした交代はオープン戦序盤でしか楽しむことができない。誰に変わって誰がどういうところに出てくるかが、最終的にその年のチームの戦い方につながる大事な面も備えている。

 普段のゲームならありえない選手の入れ替わりがある中で、9回にマウンドに上がったのはマルクだった。本来9回に投げるべきR.マルティネスはまだスロー調整、開幕に照準を合わせるとなると、直前で一軍合流といったところだろう。対してマルクは前回登板の楽天戦でも9回に投げ、ライデルが合流するまでの代役クローザーを任されている形になる。

勝ちパターン入りも十分にある

 地元・東邦高校から龍谷大学を経てプロ入りした育成上がりの26歳は、昨年の1軍登板こそなかったもののウエスタン・リーグでは前年より登板数(23→46)や奪三振率(6.13→8.01)などの数字を大きく改善した。

 独特のステップが目を引くが、左手を大きく上げるそのピッチングフォームは角度があり、まるで190cmを超えるような見た目の迫力がある。150キロに迫るストレートとフォークボールで三振を奪う本格派で、立浪監督もクローザーとしての期待を寄せている。

 現状、昨年の勝ちパターンを担った又吉克樹がFA移籍、祖父江大輔は右肩の違和感、福敬登は昨秋の疲労骨折の影響でまだ時間がかかりそうだ。先述のR.マルティネスもここ2年はリーグ戦に代表にと蓄積疲労も不安視される。状況次第ではリリーフ陣は昨年とはまったく違った顔ぶれが並ぶことになる。そこでマルクのピッチングが安定していけば、開幕1軍どころか勝ちパターン入りも視野に入ってくる。

 そのためにはやはり制球が課題になる。柳町達に与えたストレートのフォアボールは全部高めに抜けるストレート。あれが低めに決まるようになれば、フォークとのコンビネーションと合わせてより圧倒的なピッチングを繰り広げることができる。

現クローザーの夜明け前

 思えばクローザーになる前のR.マルティネスもストレートが高めに抜け、失投を痛打される場面が多かった。今でこそ絶対的抑えとして君臨するライデルも、2019年は開幕2軍スタートだったことを覚えている人は多くないだろう。昇格してすぐの試合でストレートが低めに伸びたボールを見て、進化を実感した。

 オープン戦の生き残りをかけ、マルクには結果を出し続けるしかない。1失点を喫したものの、今日だけで開幕1軍枠から大きく後退した訳ではないはずだ。次回登板は週末か、それとも刈谷・ナゴヤ球場シリーズか、背番号53のピッチングに注目していきたい。

yuya (@yuya51) | Twitter