ちうにちを考える

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石川昂弥、鵜飼航丞のヤングクリーンアップ不発!でも「ええでー」

●1-3ソフトバンク(オープン戦:福岡PayPayドーム)

「ええでー、ええでー」と往年の上田利治監督の口癖をマネしながら、ソフトバンク戦を鑑賞した。

 一か月にわたりお世話になった沖縄の空に別れを告げ、名古屋へ帰る道中の福岡シリーズは毎年の恒例になっている。ここからはキャンプ気分も抜け、いよいよ開幕に向けての最終仕上げ段階に入る。まず目を惹いたのが、本日のオーダーだ。上から4人目、なんと4番レフトに鵜飼航丞の名が記されているではないか。

 前の試合まで7番を打った石川昂弥は3番を打ち、下位を阿部寿樹、京田陽太、福留孝介が名を連ねる新鮮な並び。ビシエド不在のDH仕様ということで、このままのオーダーを公式戦で見る機会はまずないだろうが、「純生え抜き日本人打線」は意外とめずらしく、面白いと感じた。

 もうひとつ触れておきたいのが、木下拓哉の打順。チーム随一の打力を誇りながらも昨季は8番を打つことの多かった木下を6番まで繰り上げるのは、打線の得点効率を上げる意味でも有効かと思われる。ぜひそのまま公式戦でも採用してほしいところだ。

このチームには即座にフォローできるベテランがいる

 ところで、何が「ええでー」だったのか。言うまでもなかろう。クリーンアップを張ったWヤングマン、石川と鵜飼の見事な牛耳られっぷりである。初回1死一塁、実績十分の石川柊太に対して、二人がどれだけ喰らい付くことができるか? 目を凝らして注目させてもらったが、一軍の壁は分厚いというか。そりゃもう楽しくなるほど完璧な三振だった。

 まず石川は初球の真っすぐを積極的に打ちに行くも、差し込まれて打球が前に飛ばない。続いてパワーカーブを見逃し、あっと言う間に2ストライクである。最後はストンと落ちるフォークに空を切り、屈辱の3球三振。さらに鵜飼も初球のパワーカーブを見逃すと、もう真っすぐにタイミングが合わなくなってしまう。追い込まれてからの5球目、あざ笑うのようなパワーカーブを呆然と見送り、こちらもあっけなく三振を喫した。

 まったく対処できず、バッテリーの思惑通りに3個のストライクを並べて帰ってきたこの打席。昨年オープン戦で打ちまくった阪神・佐藤輝明に対抗して「6本、いや7本打ちます」(中日スポーツと宣言した石川、非公式とはいえプロで4番を打つことになった鵜飼にとって、これほど忸怩たる思いに駆られる内容もないだろう。

 特に石川は前の試合で大きな本塁打を放ち、本人としても連発を狙いたい気持ちはあったはずだ。そんな気負いを見透かし、手玉に取ったバッテリー。術中にはまったのは実力不足によるもの。だが、「若いうちの苦労は金を払ってでもしろ」と言うように、早い段階でソフトバンクの高いレベルの投手と対戦し、鼻っ柱を折られたのは間違いなく次につながるはずだ。その意味での「ええでー」なのである。

 印象的だったのは石川がベンチに戻ったときの光景。福留が近づき、まず一言何かをアドバイス。さらに石川が椅子に座ろうとすると、もう二言、三言。かつては自分自身も期待の若手としてポジションを与えられながら、結果が出ずに苦しんだ経験を持つ。モノが違う。あの飛距離はずば抜けている」とテレビ番組で語るなど、ポテンシャルの高さを認める後輩だからこそ、壁を突破し、大成してもらいたいという想いもひとしおなのだろう。苦労するだけではヘコんで終わりかもしれないが、このチームにはこうして即座にフォローできる頼もしいベテランがいる。

 たぶん次代の4番と監督になるであろう石川と福留の関係性は、ベンチが映るたびに注視していきたいと思う。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

中日・福留「石川昂弥はモノが違う」来季1番期待している選手聞かれ“即答”「あの飛距離はずば抜けている」(東海テレビ) - Yahoo!ニュース