ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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開幕投手は大野雄大〜ハーパーとの夢との対決の実現なるか!?

「開幕は歌舞伎でいえば、劇場が張り詰めて緞帳(どんちょう)が開く瞬間で特別な舞台だ」(日刊スポーツ

 阪急時代に12年連続で開幕投手を務めたミスターサブマリン・山田久志の言葉である。試合の立ち上がりは難しいと若手からベテランまで、ほとんどの先発投手が口を揃えて言うが、いわんや開幕戦であればその緊張感は想像を絶するものがあるに違いない。

 日本で12人しか立つことができない特別なマウンド。まるで優勝決定試合のような空気感が初回の第1球から球場全体を包むのは、長いシーズンの中でもこの日くらいのものだろう。

 全ての投手が憧れるその舞台を踏むのは、エースと呼ばれる存在だけだ。今年のドラゴンズの開幕投手については、早い段階から立浪監督は「候補は二人くらい」と言い切っていた。これが大野雄大、柳裕也の両輪を指すこと、それ以外の選択肢はあり得ないことは、火を見るよりも明らかだった。

 問題は、どちらを選ぶのかだ。幸い両者ともに昨季は巨人に相性がよく、投手受難の東京ドームでも防御率1点台と抜群の成績を残している(大野:1.93、柳:1.71)。2020年の沢村賞投手か、昨年の二冠王か。数年前のエース不在時代を見てきただけに、贅沢すぎる悩みに少々戸惑いすら感じるほどだ。

 対する巨人は、菅野智之が球団史上最多8度目の開幕マウンドに上がることがほぼ確実。難敵には違いないが、大野と柳なら十分戦える。幸先いいスタートを切るために、より勝てる確率の高い投手はどちらなのか? ファンの間でも意見の分かれた問題だが、意外にも立浪監督は「就任した三日後」には決めていたそうだ。本人に伝えたのも、昨秋のことだという。

 なんてことはない、私なんぞがあれやこれやと思考を巡らせるまでもなく、立浪監督の腹はとうに決まっていたのである。というわけで、周知のとおり今季の開幕投手は大野雄大と発表があった。3月25日、3年ぶりに戻ってくる大観衆のスタジアムで、果たしてどのような投球を見せてくれるのか。

あの世界最強打者のプライス・ハーパーが巨人入りを熱望なんて笑えない話題が盛り上がっているのも気になる

 もちろん大野のことは信頼しているが、「開幕の大野」となるとちょっと心配になるのも正直なところだ。最優秀賞防御率のタイトルを引っ提げて臨んだ2年前の開幕戦ではヤクルト打線相手に早いイニングから炎上。味方の打線が活発に働き、黒星こそ付かなかったものの、開幕の大野と聞くとどうしてもあの姿を思い出してしまうのは私だけではないだろう。

 その前に大役を務めたのは2017年。今年と同じ東京ドームの巨人戦だったが、ここでも大野は6回6失点と不甲斐ない結果に終わっている。出足につまずいたこの年は投げても投げても勝ち星がつかず、ようやく初勝利をあげたのは交流戦も半ばを迎えた6月7日のこと。ZOZOマリンのお立ち台で、人目をはばからず涙した姿が懐かしい。

 3度の開幕投手で勝ったのは2016年に京セラドームでおこなわれた阪神戦のみ。当時は3年連続二桁勝利をあげるなど既に一流投手の仲間入りを果たしていたが、そこから更に覚醒した “大エース・大野雄大” としても、そろそろ開幕勝利の勲章が欲しいところだ。

 昨季の大野は左打者を苦手にしていたにもかかわらず、昔ながらの戦術で右打者をずらりと並べたりと巨人のズレた采配に助けられた面があるのも否めない。そのあたりを原監督がどう反省し、どう変えてくるのか、あるいは変えないのか。

 ここにきて、あの世界最強打者のプライス・ハーパーが巨人入りを熱望なんて笑えない話題が盛り上がっているのも気になる。契約の問題もあるのでまさか無いとは思うが、何が起こっても変じゃない、そんな時代さ、覚悟はできてる的なミスチル精神で「まさか」に備えようと思う。何しろ巨人だ。どこから出てきたのか分からないような巨額のマネーを武器に、半月後には球団旗をバックにハーパーと原監督がいつも以上に目をデカく見開いてグータッチしている絵面が割とリアルに浮かぶからコワイ。

 もちろん、いち野球ファンとして “大野対ハーパー” のマッチアップは見てみたいし、当日のチケットを既にゲットしている身としては、もし実現したら身悶えしてしまうだろう。バリバリのメジャーリーガーが来日。考えるだけでわくわくする。

 ただ、ドラゴンズファーストの観点に立てばやっぱり困るので、もし実現してもディンゴばりの詐欺であることを祈りたい。カールソン、あいつ今ごろ何やってんだろ。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter