ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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石川昂弥、会心の一撃!……の裏でいま、セカンド争いが熱い!

●7-9楽天(オープン戦:北谷)

 これぞファンが心待ちにしていた光景だ。今季オープン戦のチーム第一号は、石川昂弥の逆転2ラン。投手陣が打ち込まれて試合こそ負けたものの、このホームランだけで “撮れ高OK” といっても過言ではない。2試合続けて7番サードでの出場となった石川が、また一歩開幕スタメンへ近づいた格好だ。

 打った瞬間だった。高々と舞い上がった打球の行方を追うこともなく、背番号2は自然色のバットを天高く掲げながら、満面の笑みで一塁ベンチを見やった。視線の先にいたのは立浪監督か、もしくは師匠である中村紀洋コーチか。あまりに石川が嬉しそうにするものだから、自然とベンチにも笑みがこぼれる。スコアだけでなく、雰囲気をもガラッと変える一発だった。

 どんな時でも表情を変えないポーカーフェイスがいる一方で、石川の場合はおもしろいほど感情が顔に出る。いいとこなしで沈んだ表情だった昨日とは打って変わって、今日はこの一発のあと守備についてもまだニコニコしていたほどだ。

 分かりやすいほどの気分屋。こういう選手がいるのも悪くない。果たして今季、何回この笑顔を見ることになるのだろうか。10回か、20回か、あるいは……。その数が多ければ多いほど、立浪ドラゴンズの白星も増えていくに違いない。

 守備では不安を露呈した石川だが、反応勝負の三塁守備は “慣れ” が大きなウエイトを占めるポジションだ。一軍の打球速度に慣れ、ノックを繰り返すことで上達は可能。リーグ最強打者の一人である村上宗隆も、2019年には28試合10失策という目を疑うような数字を三塁守備で叩いたが、今ではまずまずの指標を残すまでに上達した。

 やはりサードに求められるのは守備力よりも打力。石川も強い打球を散々浴びていく中で、平均並にさえ守れるようになれば、結果的にチームにもたらすメリットはプラスに転じる。立浪監督に限って心配はしていないが、拙い守備を理由にして石川への “我慢” をやめてしまう事だけは避けてもらいたい。

胸から「C」マークが取れた今季は、高橋の真価が問われるシーズンになる

 石川のサード起用が堅いとなると、注目すべきはセカンド争いだ。既定路線でいけば高橋周平なのだが、高橋も高橋で決して二塁守備が上手い選手ではなく、その点でみれば本職の阿部寿樹の方が遥かに安定しているのは言うまでもない。

 さらに阿部はキャンプから一貫してバットの振りがよく、今日も途中出場で猛打賞というインパクトの強い活躍をみせた。これで昨日から数えて5打数4安打。それも内容が伴ったヒットばかりだ。高橋を3イニングで引っ込めたのに対し、阿部を試合終了まで起用した采配にも、首脳陣の意図が見え隠れしているようでならない。

 胸からキャプテンを表す「C」マークが取れた今季は、高橋の真価が問われるシーズンになる。このまま中途半端な成績で終わってしまうのか、それとも本来のポテンシャルを発揮できるのか。昨季からの上積みが見られないようなら、いよいよ立場も磐石とは言いがたいものとなる。

 大きな期待の表れでもある背番号3の持ち主をベンチに置くという判断は、並の監督では難しいかもしれない。だが、今年の指揮官は並ではない。なんたって、背番号3を22年の長きにわたり背負ったミスター・ドラゴンズなのだ。後継者に対して不甲斐なさを感じれば容赦なくレギュラーを剥奪するだろうし、高橋だって立浪監督に言われれば従わざるを得ない。

 立浪監督が「我慢する」と公言したサード石川。となると、セカンドを守るのは必然的に高橋一択かと思われたが、マスターだって指をくわえて見ているつもりはさらさら無さそうだ。にわかに熱気を帯びるポジション争い。3月25日の出場権を得るのは高橋か、阿部か? 割と本気でわからなくなってきた。