ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「内容よりも結果」〜大野雄大の有言実行ピッチで立浪ドラゴンズ白星発進!

〇2-1阪神(オープン戦:北谷)

 まるで公式戦のような緊張感、と言うのは大袈裟だろうか。いや、そんな事はない。同じリーグの阪神戦、両軍共にそのまま開幕戦のオーダーだと言われても不自然ではないほどの “ガチメンバー” で臨んだ本日の一戦。オープン戦初戦は、若手の期待枠が先発投手を務めるのが慣例となっているが、今年はあきらかに様相が違う。何しろ真っ新なマウンドに上がったのは背番号22、エース大野雄大なのだ。

「勝ちにこだわってやっていきたい」という立浪監督の言葉に呼応するかのように、大野も「オープン戦でとにかく勝ちたい」と、目下9年連続で5割以下に甘んじているオープン戦での健闘を兼々公言してきた。監督直々に投手キャプテンに指名された今季。キャンプ初日の2月1日には、投手陣に対して「練習試合、オープン戦であっても勝ち癖を付ける」よう訓示を垂れた。

 その本気度は並大抵ではない。18日の中日スポーツに載った談話も、この時期としては異例のものだった。

「僕が言った手前、プレッシャーを感じながら結果を求めていきます。内容よりも結果。チームを勝たすための投球をします」

 沢村賞投手の口から発せられた、まるで天王山を前にしたかのような言葉。だが説得力は言葉ではなく実践からこそ生まれるものだ。果たしてその結果や如何に? というわけで今日の試合に移ろう。

ランナーを許しても簡単には崩れないのがエースたる所以

 この時期の北谷名物である強風に吹かれながら、神妙な表情の大野がマウンドに立つ。“調整” などというつもりは微塵もなさそうな、シーズン中さながらの雰囲気を纏ったエースをこの時期に見るのは、少々不思議な感じがする。

 滑り出しは決して磐石とは言い難かった。先頭の近本光司にいきなり2ボールとし、フルカウントからすっぽ抜けて四球。今日はこの高めに抜ける球が多く、調子自体はむしろ悪かったのではないかと思う。もっとも2月の実戦初登板で “調子云々” というのも性急な話ではあるが、「勝つ」と公言して憚らない大野に対しては多少シビアな見方をしてもバチは当たらないだろう。

 ただ、ランナーを許しても簡単には崩れないのがエースたる所以(ゆえん)か。初回の1死二塁、2回の2死二、三塁というピンチを慌てずに切り抜け、結果的には2イニング無失点と「内容よりも結果」を実践してみせた。

 初登板を終えたコメントも一貫している。

「内容どうこうよりも0で帰ってきたいというのが一番だった。オープン戦も勝ちにこだわってやってきたいと思っていたので、0で帰ってこられて良かった」(スポーツ報知

 途中ストレートの四球を許すなど終始不安定な内容ではあったが、それでも有言実行を果たす辺りはさすがである。

 未だ公表されていない開幕投手だが、大野が3月25日を見据えているのは言動からして確実。開幕戦の相手である巨人は既に、菅野智之に8度目の開幕マウンドを託すことを明らかにしている。

 大野対菅野ーーこれまで何度も相対してきた宿命のマッチアップから、2022年のプロ野球が幕を開けるのはほぼ確定とみて間違いなさそうだ。

 

 最後に。大野の粘投もさる事ながら、今日の勝利は1番・岡林勇希の躍動なくしてあり得なかった。特に決勝のホームを踏んだ2点目。いや、あれは「踏んだ」のではなく「跳んで、奪った」という表現が適切だろう。凄まじいスピードでベースを駆け抜け、完璧なタイミングでホームを陥れた背番号60の躍動感たるや、まさしく疾風の如し。

 立浪ドラゴンズは早くも超優秀なリードオフマンを育ててしまったようだ。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

『中日スポーツ』