ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

2ストライクからの3出塁 鵜飼航丞はただじゃ転ばない!

●1-4阪神(練習試合)

 打席の結果が9割方 “見える” 場面というのがある。この打者は今から間違いなく三振を喫するとか、なんとなく打つ気がするとか。もっとも中日の場合、後者はほとんど皆無に近いわけだが……。

 別に予知能力なんてオカルトじみたモノではなく、長年の野球観戦で養われた経験則による勘が働いているに過ぎないのだが、ある程度は当たるからおもしろい。

 この日の試合でも、久々に “見えた” と思える場面に出くわした。2回2死二塁、鵜飼航丞を迎えたところだ。阪神の先発は青柳晃洋。泣く子も黙る昨季の最多勝投手にしてみれば、荒削りのルーキーを抑える事なんぞ赤子の手を捻るようなもの。絶滅危惧種ともいえるアンダースローを初見で攻略するのは不可能に近く、どんな無惨な結果に終わろうとも「経験」と捉えて差し支えのない難敵だ。

 初球、アウトローに決まった直球は「見逃した」のではなく「手が出なかった」と言った方が適切だろう。ストライクをコールする球審を「マジか」というような感じで一瞥。これがプロでタイトルを獲る投手の制球力なのかと、鵜飼は肌で感じたに違いない。

 2球目は同じコースからボールゾーンへと沈むシンカーに空を斬りツーストライク。まるで大人が子供をからかうような配球は、典型的な “やられパターン” である。あっという間に追い込まれた時点で、三振以外の未来は見えなかったし、何なら次の釣り球のインハイ直球に手を出さなかっただけでもこの打席は合格を与えてもいいと思ったほどだ。

 しかし、鵜飼のルーキー離れしたセンスは土俵際から冴え渡ることになる。さすがに次は我慢できないだろうと思われた4球目のスライダー、続いてワンバウンドのシンカーも見切り、あれよとあれよと言う間にフルカウントである。百戦錬磨の青柳とて、僅かにも動揺が無かったと言ったらウソになるだろう。

 バッテリーが決め球に選択したのは、2球目と同じ軌道のシンカー。これを「もう見慣れた」とばかりに微動だにせず見送る姿は、海千山千のベテランの如し。このルーキー、なんと初見の青柳を相手にカウント0-2から四球をもぎ取ったのだ。

 野球鑑賞歴25年、恥ずかしながら私の予見なんぞはまったくアテにならないことを痛感した次第。だがそれ以上に鵜飼の選球眼のよさ、こと実戦での対応力の高さには目を見張るものがある。何しろ昨日は併殺に3三振と惨憺たる内容に終わりながら、24時間後にはしっかりと改善して来たのだ。

2安打3出塁、すべて2ストライクからの異なるアプローチでの出塁

 それだけでは終わらない。5回の第2打席では、やはり追い込まれてから外のボール球を冷静に見送り、甘く入った真ん中高めのスライダーを引っ張ってツーベースに。

 さらに7回の第3打席は昨季の10勝投手・伊藤将司を相手に、またしても追い込まれてから1球ボールを選ぶと、最後は外に沈むチェンジアップを体勢崩しながらもセンター前に落とす技ありのヒット。2安打3出塁、すべて2ストライクからの異なるアプローチでの出塁という抜群の好内容で、鵜飼はまた一段と評価を上げたのであった。

 私事だが、3月25日東京ドーム開幕戦のチケットを無事ゲット。菅野智之に対して手こずる姿は容易に “見える” が、鵜飼なら何かやってくれるんじゃなかろうかという期待を胸に、その瞬間をこの目に焼き付けて参ります。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter