ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

こりゃホンモノだ!高橋宏斗、マウンドを支配した圧巻の45球

○2-1DeNA(練習試合)

 圧巻の45球だった。兼ねてからの予告どおり先発マウンドに上がったのは高橋宏斗。先日の紅白戦では最速152キロ、2回無失点と抜群の投球を披露した高橋だが、今季初の対外試合となった本日はそれを更に上回る内容でド肝を抜いてきた。

「これはすごい投手が出てきた」「久々にこういう球を見た」

 テレビ中継の解説を務めた川崎憲次郎氏も、見惚れるように感嘆の声を漏らすしかなかった。背番号19の指先から放たれたボールが、唸りをあげてキャッチャーのミットに吸い込まれる。精密にコントロールされたボールは、内外角のいわゆる「ビタビタ」と形容されるコースに決まる。気持ちいいほどの制球力。そしてガン表示こそ無いものの、優に150キロは超えているであろう直球に、打者は手を出すことすらままならない。まるで何年もローテを張ってきたような堂々たる投げ姿に、“無双” の2文字が脳裏をよぎった。

 1年目の昨季は二軍で防御率7.01と苦労し、11イニング連続無失点で注目されたフェニックスリーグも、最終登板では5回もたず6失点と炎上。体力、技術共にプロの壁に跳ね返されたルーキーイヤー。まずは二軍で1年間、しっかりローテを守ることが、今季の高橋の目標だと考えられていた。その高橋の評価が、今や一軍の開幕ローテを期待されるまでの急上昇である。男は二十五の暁まで育つと言うが、その日進月歩ぶりや恐ろしくなるほどだ。

 特に紅白戦以降の、吉見一起、前田健太という超一流プレーヤーからの称賛は話題となり、本人も即座にSNSで反応するなど自信を深めた様子だった。それを受けての本日の “無双” である。

 ローテ確定なんて言い切るのは、開票ゼロ秒で当確を出す選挙速報みたいで気が引けるが、それでも期待するなと言う方がムチャな話。もうこの逸材は「ホンモノ」とみて間違いなさそうだ。

長いペナントレースでは必ずしも調子のいい日ばかりではない

 褒めちぎるだけでは能がないので、敢えて不安要素にも言及する。この日高橋が投じた45球の球種割合は、直球30(66.66%)、スプリット7(15.55%)、スライダー5(11.11%)、カット2(4.44%)、シュート1(2.22%)と極端に真っ直ぐで押す投球をみせた。NPB全体の直球比率が毎年45%前後であることからも、いかに高橋が直球を軸とした本格派であるかが分かる。

 特に今日はボールと判定された球でも際どいコースが多く、打者からすれば「来る」と分かっていても打てない。それどころか振ることさえ難しいような、まさに支配的な投球ができたといえよう。

 だが、長いペナントレースでは必ずしも調子のいい日ばかりではなく、球審やマウンドとの相性によって思うように直球を投げられない事も多々あるだろう。そうした際に、いかに走りの悪さをごまかせるような投球ができるかどうかが、今後高橋がエースの称号を得るにあたってのカギになってくると思う。

 プロ未勝利、未登板の投手への注文としてはいささかリクエストが過ぎる感は否めないが、なぁに高橋のことだ。すぐにその程度のレベルには到達してしまうだろう。バッテリーを組んだ木下拓哉も、ただならぬポテンシャルを察知したうえで敢えて厳しいコースに構えているように思えた。その要求にピンポイントで応える19歳の末恐ろしさたるや。

 ただし3イニングでは真価が見えたとは言い切れないのも事実。おもしろいように見逃しでストライクを取れたのも、木下のキャッチングに依るところが大きいとも言えるだろう。果たして一ヶ月後も同じテンションで高橋を評することが出来ているかどうか。その先に待つのは開幕ローテ、そして……。あぁ、次の登板機会が楽しみで仕方ない。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

スポナビアプリ(野球速報)