ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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あの緊張感もいまは昔ーーせめて開幕投手は当日その瞬間に知りたい

「今年の開幕投手は光成。光成が開幕戦で勝てるようにみんなでバックアップしよう」(日刊スポーツ

 西武が他球団に先駆けて開幕投手を発表したという。近年は開幕前日のイベントで先発投手どころかスタメンオーダーまで発表する文化が定着したため、当日を待つドキドキ感は昔に比べてすっかり薄れてしまった。落合監督の退任を待っていたかのように予告先発制度がセ・リーグに導入されて10年が経った。普段の試合はともかく、開幕戦くらいは独特の緊張感を味わわせて欲しい。そう考えるのは私だけだろうか。

「ドラゴンズのピッチャーは、川崎」ーーあの時の地鳴りのようなどよめきを生で体感した身としては、開幕投手の名前だけはウグイス嬢(スタジアムDJ)の声で聞きたいという想いはどうしたって捨て切れない。興行的にも開幕戦だけはそっちの方が関心を引くと思うのだが……。

開幕戦はファンにとっても特別なものであるべきだと思う

 さておき、ドラゴンズの開幕投手が誰になるのか? いや、“どちらになるのか?” と言った方が適切か。3月25日に東京ドームのマウンドに立つのは大野雄大か、柳裕也か。ここに来ても未だ判然とせず、「候補は二人くらい」としていた立浪監督からも明言はない。ともあれ両者共に順調に調整を進めており、明日以降の練習試合、オープン戦の登板具合によって朧(おぼろ)げながら答えが見えてくるかも知れない。

 思えば去年の今ごろはド本命の大野が大幅に出遅れており、ようやくシート打撃に初登板したのが2月22日という状態だった。代役として福谷浩司の開幕投手が発表されたのが3月8日のこと。その福谷も開幕6日前に急遽フォーム改造を行うなど、なかなか調子が上がらずに苦しんでいた。それに比べれば、ダブルエースが元気な今年はどれだけ恵まれているか。

 だからこそ、楽しみは当日に取っておきたいという気持ちは強い。「カードダス20」のレバーをギリギリと回している時のように固唾を飲みながら、ウグイス嬢が絞り出す第一声に神経を全集中させる。その一瞬はまさしくエンターテイメント。「お」「や」か。ひょっとしたらもう一人の「お」もあるぞ、と。1年間の幕開けにふさわしい緊張感の中で、まさかの「た」が来た日にゃ、自分がマウンド立つわけでもないのに武者震いが止まらなくなるに違いない。

 いやー、2011年までの開幕戦が懐かしい。やっぱり開幕戦はファンにとっても特別なものであるべきだと思う。いったい誰がマウンドに立つのか? という、それ自体がトピックスとなり、新聞の1面を飾るような試合はこの日くらいのものなのだから。

 ちなみに「た」は、もちろん田島じゃないのだが、もし東京ドームで開幕投手が田島だったら別の意味で震えると思う。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter