ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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FCスペシャルゲームは“ニックネーム”で! 歴代ドラ戦士のニックネームを振り返る

「あいつは昔からヤンチャでしたけど、礼儀はちゃんとした可愛いヤツでしたよ!」

 最近、仕事でたまたま知り合った習志野高野球部OBによる山下斐紹評である。山下とは先輩後輩の関係で、同じ目標に向かって切磋琢磨した日々を懐かしんでいた。かつては常勝ソフトバンクの開幕マスクを任された経験を持つ山下だが、立浪監督の「バッティング一本で勝負していけ」の言葉に一念発起。慣れ親しんだ捕手への未練を捨て、今年は「打者・山下」として勝負を懸けるようだ。

 その山下の名前は「アヤツグ」と読む。初見ではなかなかに難読だが、近ごろチームでは「アヤタカ」というあだ名で呼ばれているという。由来は同名のお茶飲料だと思われる。ひょっとすると、山下だけではなく各選手にチーム内でのあだ名があるのだろうか? そんな好奇心に応えるかのように、ドラゴンズ球団がおもしろい企画を打ち出してきた。

 なんとFCスペシャルゲームと銘打たれた6試合で、FCユニフォームの背ネームを “ニックネーム” に変更するというのだ。球団公式サイトでは早くも全選手のニックネームを掲載。「ファンクラブ会員の皆さまから呼んでいただきたい“ニックネーム”をそれぞれの選手が考え決定しました」との事なので、実際にチーム内で呼ばれているニックネームとは限らないようだ。

 それでも石川昂弥の「GOLEM」、垣越建伸の「SHACHO」など、自分で考えたというよりは、普段からそう呼ばれていそうな名前がちらほら混じっていて、想像するだけで楽しめる。

歴代ニックネームの数々

 ニックネームの有名どころといえば、やはり中日だと和田一浩「ベンちゃん」、小笠原道大「ガッツ」のFAコンビが双璧だろうか。その他にも井端弘和「いばちん」は今でもよく使われるし、中村紀洋「ノリさん」は、もはや野村克也「ノムさん」並の一般名詞になっているが、よく考えればニックネームである。

 岩瀬仁紀「まんちゃん」、荒木雅博「トラ」あたりは、いわば変化球。知らなきゃ誰のことを指しているか分かるはずもない。谷繁元信「シゲシゲ」は……応援歌限定の謎ネームとでも言うべきか。

 時代を遡ると、今中慎二「チュー」、山崎武司「ジャイアン」、前田幸長「チョコ」なんかがパッと思い浮かぶ。「チョコ」は前田がまだロッテにいた頃のバレンタインデーに、大量のチョコがキャンプ地に届いたことに由来する。小松辰雄「親分」も「小松の親分」という風にセットで使われることが多いが、ニックネームと言うよりはパーソナリティそのものを指す感じか。

 さらに歴史を深潜りすると、この手のニックネームの元祖は本多逸郎「パラちゃん」に行き着く。犬山市出身の本多がドラゴンズに入団した頃、「犬山パラダイス」という犬山市の遊園地で開催されていたイベントに由来すると言われている。ファンシーな響きに似合う美男子だったことも、このニックネームが定着した要因であろう。

 渋いところでは服部受弘「コッテ牛」というのもある。球団で二人しかいない永久欠番の持ち主には、タフネス溢れる鉄人ぶりから「雄牛」を意味する方言が授けられた。ただ、OBの文献等を読む限りチーム内では「ハッちゃん」の方が定着していたようだ。他にも、立浪と大島洋平のハイブリッドのような成績を残した名外野手・中利夫は、フルネームを音読みにした「チューリップ」なんて洒落た愛称で呼ばたりもした。

 ところでFC企画での山下斐紹のニックネームが気になって見てみると、まさかの「AYATSUGOOD」。アヤタカじゃないんかーい。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

「中日ドラゴンズ40年史」中日新聞社,1975

東海ラジオ「大澤広樹のドラゴンズステーション」