ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

それでも鵜飼が見たいんだ!質素な現実よりも、とびっきりの願望に夢を馳せる

 早いものでキャンプも気付けば後半戦に突入。ここまで最も目立っている選手といえば、ルーキー鵜飼航丞を置いて他にはいないだろう。

 初日のフリー打撃柵越え14発に始まり、5日には場外弾2発を含む55スイング中13本の柵越えを記録。あの井端弘和氏をして「弾道は岡本和真、村上宗隆よりも上くらいに感じる」と言わしめるほどの長打力は、長距離砲を見慣れていないドラゴンズファンのハートをあっという間に掴んでしまった。

 この手のタイプは練習では気持ちよく飛ばしていても、実戦になると途端にバットにかすりもしなくなるパターンがお決まりだが、紅白戦での2試合連続安打によってその心配も払拭してみせた。

 それでも「泳ぎましたね。内からの甘いスライダーだったんで正直、スタンドまで持っていかないといけない球。反省です」(中日スポーツと、慢心するどころか反省を口にする真面目ぶり。より確実にパワーを発揮できるようにフォーム改造を施し、チーム1号ホームランを目標に掲げて16日からの対外試合に臨む。

何なら私は、この鵜飼に開幕レフトを約束したって良いとさえ思っている

 ーーと、まあここまでの活躍を駆け足で振り返ったが、このレベルで期待を持たせてくれる打者は少なくともここ10年、いや15年を振り返っても思い当たらない。それこそ1999年の福留孝介まで遡るのではないだろうか。もちろん、このままレギュラーになれるほど甘い世界ではないので、これからあらゆる面でプロの壁にぶち当たることになるだろう。ただ、あの福留でさえプロ1年目は試練の連続だったことを思えば、少々の挫折で起用を躊躇ってしまうのは明らかに悪手であろう。

 幸い立浪監督は若手の積極起用を明言している。先日の紅白戦では不安視されているレフト守備の粗さが顕在化したが、あれしきのプレーでベンチに追いやるようではいつまで経っても和製大砲は育つはずもない。鵜飼がバンテリンドームで30ホーマーを打つような怪物に育つかどうかは、立浪監督をはじめとした首脳陣の覚悟に懸かっているといっても過言ではないのだ。

 何なら私は、この鵜飼に開幕レフトを約束したって良いとさえ思っている。そりゃボールの5個上で空を斬るようなとんでもない空振りもするだろう。目を覆いたくなるようなエラーだってきっとするに違いない。それも、一度や二度ではなく。

 それでも鵜飼を、新しい希望をこの目に焼き付けたいのだ。立浪ドラゴンズの象徴として、ちゃんとホームランが打てる日本人打者を望むのは、そんなにおかしな事だろうか?

 同じ理由で石川昂弥の開幕スタメンにも賛成だ。石川、鵜飼が並ぶニューオーダー。最高じゃないか。3月25日の東京ドーム、対するは菅野智之。笑っちゃうくらいモノの見事に遊ばれるのが目に浮かぶ。力自慢のルーキーをあざ笑うかのような外スラを、鵜飼のバットが一閃! なんて夢みたいな光景は、たぶん叶いっこない。

 だけどもしかしたら、たとえ数%にも満たない確率だとしても、当たりさえすれば何かが起こるんじゃないかと。少なくともそう感じさせてくれるだけで、鵜飼をスタメン起用する価値はあると思う。もちろん、「お前なんか当たりさえすれば、当たりさえすれば……!」でおなじみのフリーザよろしく、当てても何も起こらない=ぼてぼての投ゴロに終わる確率の方が遥かに高いのは承知の上である。そんな事は言われなくても分かっている。けれど質素な現実よりも、とびっきりの願望に夢を馳せたいのである。

 オレ流・落合博満が監督就任会見で「右の日本人の4番」を育てると宣言したのが2003年秋のこと。高橋光、幕田、田上、櫻井……いろいろな候補者が名前に挙がったけれど、まさかあのとき名古屋のどこかでベソかいてた4歳の坊やが “それ” だったなんてーー。19年越しの答え合わせが、遂にはじまる。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter

【参考資料】

東海ラジオ「源石和輝!抽斗!」