ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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圧巻の高橋宏斗! 不満残る梅津晃大。マウンド捌きを学ぶべき人物は身近にいる

 本日おこなわれた紅白戦は、立浪政権初の実戦という事もあり、大きな注目を集めた。若手中心オーダーの中で高橋周平や木下拓哉といったレギュラー格も出場。若手にとっては単なる調整に留まらず、貴重なアピールの場となる。

 その中で大きく存在感を見せつけたのが、紅組の先発投手を務めた高橋宏斗だ。先日の「ストライクテスト」で優秀な結果を収めて勝ち取ったこの日の先発マウンド。ただでさえ飛躍が期待される若手の一人ではあるが、みごとに想像を絶する “圧巻” と呼ぶにふさわしい投球を見せてくれた。

 2回無安打パーフェクトという結果もさることながら、威力のある直球、制球力、そしてキレッキレの変化球と、内容も申し分なし。石川昂弥、鵜飼航丞から空振りを奪ったスプリット(ツーシーム?)は落差が激しく、一軍でも優に通用する武器になり得るだろう。

 今日は完璧に抑えたが、このクオリティを4回、5回とイニングが進んでも続けることができるのか?ランナーを出しても同じ投球ができるのか? まだまだ確認したい課題は山積している。ただ、今日投げた24球を見る限り、このまま開幕ローテを掴んでしまいそうな勢いすら感じた。すなわち明日の中スポ1面もほぼ確定とみて間違いないだろう。

以前からの欠点である情緒不安定なマウンド捌き

 見えないものを見ようとして望遠鏡をまた担ぐのがバンプ・オブ・チキンなら、古代ローマの政治家ユリウス・カエサルは「人は見たいものしか見ようとしない」と、諦観したように語ったのである。

 プロ野球ファンにも心当たりはあるはずだ。紅白戦のポジティブ要素だけ抽出して喜んだり、ネガティブ要素を見て見ぬふりをした経験が、誰にだって一度や二度はあるだろう。

 本日の試合でいえば、前者は高橋宏、根尾昂、三好大倫といった辺りか。一方でピンチを凌ぐことができなかった岡野祐一郎、佐藤優、そして一人相撲に終始した梅津晃大は、残念ながら評価を落としてしまった “ネガ要素” と言わざるを得ない。

 特に梅津に関しては期待も大きかっただけに、本日の内容は不満の残るものとなった。打たれたこと自体をどうこう言うつもりはない。問題視したいのは、以前からの欠点である情緒不安定なマウンド捌きだ。

 1イニング目も褒めるべき部分のない投球だったが、4失点を喫した2イニング目はため息が漏れるほど酷かった。2死三塁から石垣雅海が放ったボテボテの打球を、無理に処理にいって捕手の石橋康太と交錯。みすみす三塁ランナーを返す形になった。打球は両者の中間点よりややホームベース寄りで失速。咄嗟の難しい判断ではあるが、映像では石橋が指示を出しているように見える。その声も、動揺した梅津の耳には届かなかったか。

 取るべきアウトをしっかり取るのは守りの基本中の基本。それをおろそかにしているようでは梅津のローテ定着は遠のくばかりだ。先日、「二・二六事件」ならぬ226球の熱投をブルペンで見せた梅津ではあるが、本日の投球を見る限りはもっと先にやるべき事、改善すべき事があるように思えてならない。

 ボールの力があるのは誰もが知るところ。にもかかわらず成績が伴わないのは、決して怪我のせいだけではなく総合的なマウンド捌きに原因があるのではないだろうか。幸いこの点に関して、ドラゴンズには球史に残る達人が在籍している。梅津との共通項は、端正な顔立ちと抜群のスタイル。そう、浅尾拓也コーチである。

 現役時代の浅尾は、言うなれば梅津とは真逆の投手であった。無駄な四球は出さず、ランナーを背負っても涼しい顔で打者と対峙する肝っ玉。何よりフィールディングが抜群にうまく、2011年には史上初の先発機会ゼロでのゴールデングラブ賞獲得という快挙も成し遂げた。まさしくマウンド捌きを極めた投手だった。投手としてのタイプは違うが、梅津にとって学ぶべきことは多いはずだ。

 グラサンの立浪監督がバットに顎を乗せて目を光らせるという緊張感の中で、動揺してしまったのは同情すべき点かも知らない。だが、それを言ったら高橋宏斗だって条件は同じだったのだ。前回も書いたように、入団4年目で成長が認められないとなると立場が危うくなる頃だ。目指すべき目標は身近にいる。早急な欠点解消を求めたい。

木俣はようやっとる (@kimata23) | Twitter