ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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人的補償は岩嵜翔! 年越しギリギリの補強成功

 来るか…来ないか…そろそろか…まだ来ないか…

 今日一日をこんな感じで過ごした人も多かろう。まるで採用の通知メールを待つように。あるいは気になるあの子からのLINEの返事を待つように。我々中日ファンが待って待って待ち続けた一報は、18時の時報と共にやってきた。

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 又吉克樹のFA移籍発表からちょうど2週間。立浪監督がリストから選び抜いた名は、岩嵜翔だった。2007年高校生ドラフトの外れ1位で中日が指名してから早14年。2017年には最優秀中継ぎ投手のタイトルにも輝き、今季も48試合に登板し2勝5敗6セーブ14ホールドの成績を残したバリバリの一線級投手だ。

 FAの人的補償のセレクトは、主に「潜在能力が高い若手」か「実績のあるベテラン」の2パターンに分ける事ができる。印象深いところで言えば、巨人から広島に移籍して黄金時代の一翼を担った一岡竜司は前者の代表的な成功例だ。一方、長野久義、内海哲也は典型的な後者パターン。中日の歴史で見ると、2008年に和田一浩の人的補償で西武に移籍した岡本真也もこのパターンだった。

 今回の岩嵜は言うまでもなく後者だが、FA移籍した選手と比べてここまで実力に遜色ないケースは珍しく、トレードと言われても不思議ではないほどの人選といえよう。獲得可能選手の名簿が中日球団に届いたのが24日の事。終わってみればわずか3日間のスピード決着となったが、岩嵜が載ってたらそりゃ悩む必要ないわけだ。兼ねてから「投手か内野手」と宣言していた通り、立浪監督からしてみれば “してやったり” のニンマリ補強となったのではないだろうか。

 人的補償は補強じゃないって? ご冗談を。岩嵜が取れれば、それはもう立派な補強でしょうよ

「再起をかけたシーズン」

 この時期働いていて一番キツいのが「年の瀬のこのタイミングで厄介な案件を持ってくるクライアント」である事は間違いない。師走も半ばを過ぎれば気分はもう年越しモード。言わば年の瀬は仕事のやる気ステータスがマックス落ちている時期だ。できれば労力を要する仕事はしたくないのが人の常。だが、そんな時に限ってメールを開くと「できれば年内にお願いします」という空気の読めない但し書きと共に、見るからに面倒くさそうな依頼が目に飛び込んでくるのだ。

 たかが案件ひとつで激しくテンションが落ちるのだから、望まぬ転勤や出向をこのタイミングで命じられた日には正気でいられる自信はない。だから、トレード等で移籍を余儀なくされた野球選手のコメントを見るたびに心底リスペクトの感情が湧いてくる。

「来年、再起をかけたシーズンと見据えていたので、今回の移籍をチャンスととらえ、 自分を選んでいただいた中日球団に感謝しつつ、精一杯のピッチングができればと思います」(西日本スポーツ)

 内心では穏やかでいられるわけがない。中日に選ばれる手前の段階でソフトバンクの提示した28人枠に選ばれなかったという現実は、かつてのドラ1であり、4年前のタイトルホルダーの胸中を激しく掻き乱している事だろう。それでもこの移籍を「チャンス」と捉え、「中日球団に感謝」とまで言ってくれる岩嵜には頭が下がる思いだ。

 ありがとう、そしてよろしく、中日ドラゴンズ岩嵜翔。バンテリンドームという日本一のピッチャーズパークでもう一度輝きを放とう。

(木俣はようやっとる)