ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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価値ある一軍完走

●2-4 DeNA(24回戦)

 急激な気温変化で、つい先日まで窓を開けていた部屋も今では暖房をつけようかというところまで冷え込んできている。寒気を吹き飛ばすには程遠い試合内容、現地で見届けた方々はくれぐれも体調管理に気をつけてほしい。

 先発・勝野昌慶が初回に4失点、2回以降は立ち直ったものの打線は4イニング連続の併殺打と中日「らしい」試合を繰り広げた訳だが、この試合をどう感じただろうか。

 開幕オーダーの平均年齢が29.7歳。それに比べ今日のスタメンは25.8歳と、4歳若くなっている。1試合に併殺を繰り返す、満塁で得点が入らない光景は今年だけでも100試合近くあったことだろうが、若手を起用する以上は目を瞑るしかない。

見せてくれた高松の成長の跡

 さて、今年最も成長した若手は誰かと考えたときに、高松渡を真っ先に挙げたい。シーズン通して一軍帯同を果たし、今日はプロ初の猛打賞を記録した。150キロを超すツーシームをしっかりと捉えた1安打目、見事なセーフティバントの2安打目、2ストライクに追い込まれてからセンター返しの3安打目と、それぞれの安打に内容があった。

 二軍で一定の数字を残しても、一軍のピッチャーのスピードボールについていけない若手が多い中、高松はしっかりと結果を残し始めてきた。今日の3安打はすべて140キロ以上を記録している。足のスペシャリストとして期待された高卒4年目の野手が、シーズン終わりにこれだけ打撃で成長の証を見せられたのだから、来年以降大いに期待したいところだ。

 

 だが、SNSでの評価は言うほど高くない。これには中日の「打てない野球」と「守りが堅い野球」という2つの特長から高松にバイアスがかかっているようにも感じるからだ。

 確かに高松の守備は送球、捕球に不安が多く、実際に観戦した試合でも打球に対しての諦めが早い、中継のラインにきれいに入れないといった面を露呈してしまっている。

 しかし、数値で見てみると思いのほか高松の守備指標は悪くない。昨年ウエスタン・リーグでUZR -2.8を記録したセカンド守備は、今年一軍で-0.5まで改善された(※本日試合前まで)。もちろんイニング数が違うので一概に同じ評価とはいえないが、一軍を主戦場にして数値が改善されていることはプラス評価の何物でもない。

 春季キャンプで守備を重点的に鍛え、プロで戦える身体づくりができれば実は来年以降とって、凄くおもしろい存在なのではないだろうか。

現在志向バイアスを外そう

同じ負けでも若手を使ったほうが将来のためになる

優勝もAクラスもないのだから若手を積極的に使っていくべきだ

 中日に限らず、どこのチームのファンでもこのような言葉を発する人は一定数はいるが、それが叶った試合で今日のような展開をどう見ているのだろうか。

結局誰が出ても変わりゃせんがや、あかんがぁ

 と小言を並べているならば、結局若手の成長よりも目先の勝利を気にしているのではないだろうか。

 今日の試合で打てないことを非難しても何の得にもならない。大切なのは今日の結果を来年以降の弾みとして考えることだ。

 高松と根尾昂のプロ初の猛打賞を来年の期待に変え、岡林勇希の併殺打も、満塁での石垣雅海のノー感じな三振も、次の同じ状況では二度と繰り返さないようにするための若手起用だ。この1打席1打席の失敗を糧にして、来春から暴れまわってもらうことを期待したい。

(yuya)