ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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アビイ・ロードは突然に

○3-2 ヤクルト(22回戦)

 お昼休み明け、ふとスマホに目をやると心をざわつかせるニュースが舞い込んできた。

中日、立浪和義氏に新監督を要請

 

 何せ大本営である中日スポーツからのニュース配信なだけに、間違いはない。いよいよその時が来るかと思うと武者震いが起こった。

 まだ「要請」の段階ではあるが、立浪氏本人も自宅前でインタビューに応じ、受諾に前向きな発言をしていた。3代目ミスタードラゴンズが監督として、引退した2009年以来の中日ドラゴンズのユニフォームに袖を通す日がいよいよ迫ってきた。

 時同じくして突然やってきた与田監督の退任。虫の知らせか、今朝の通勤BGMに選んだのはビートルズの「アビイ・ロード」だった。与田ドラゴンズの最終章が近づいている。

勝ちたいんや!

 朝は前夜のドラフト、お昼からは監督人事。色んなニュースで頭の整理がつかない中、定刻通り18時にプレイボールがかかった。首位ヤクルトを迎える本拠地での最終3連戦を前に、昨日は福留孝介が、そして今日は福田永将が登録を抹消された。

 宮崎でフェニックス・リーグが始まっているため大きな入れ替えは発生しがたい上に、数少ない長打率4割を超える福田を抹消したことでより一層の攻撃力低下が懸念される中での先発・柳裕也は最多勝に向けて投げなければいけなくなってしまった。

 その今日の柳のピッチングは、キャッチャーのミットに収まる音さえも心なしか強く、大きく響いたようにも聞こえた。決して球場が静まり返っているせいではないと思うが、それだけ今シーズンの残り試合にかける思いをボールに乗せていたようにも感じる。

 象徴的だったのが6回、青木宣親に打たれた2点目のタイムリーの後だ。悔しさを全面に出した柳だが、恐らくそれは失点のきっかけになった高橋周平のエラーに対してではなく、それを失点に換えてしまった自分自身への怒りだったに違いない。

 とにかく勝ちたい、その思いはバッティングにも表れた。7回の打席では左中間に飛んだ当たりで迷うことなく二塁へ向かいスライディング。得点にはならなかったもののどうにかしたいという気持ちが溢れていた。

 そして8回裏、値千金の犠牲フライを放った高松渡がベンチに戻ったとき、高松の頭をポンポンと叩くその表情は満面の笑みだった。

 ヒーローインタビューではエラーを犯した先輩をいじるなど、今日の柳はいつもよりグラウンド内外で喜怒哀楽を表現していたようにも感じた。

残り試合、何を目指して戦うべきか

 個人タイトルで可能性があるのは柳のみという寂しいシーズンになっている。小笠原慎之介の規定投球回、京田陽太の規定打席到達は目処が立ってきたが、残された他の選手たちは何を目標に置いて試合に臨めば良いのだろうか。

 「ベンチを見ずに打席に入れた」と、かつての英智のインタビューを彷彿とさせた高松の打席、エラーを取り戻した高橋らしさ全開のツーベース、木下拓哉の執念の同点タイムリー、本調子でないものの3人で抑えたR.マルティネスのピッチング……。柳に1つでも多くタイトルを獲らせたいというチームの一体感が生んだ今日の試合は、多くの選手に何度も心を揺さぶられた。

 明日は山井大介、藤井淳志の引退試合&セレモニーを控えており、明後日は本拠地のラストゲームと、エモーショナルな名古屋での3連戦の初戦を勝利で終え、残るは2試合となった。だがシーズンはそれで終わりではない。ビジターでの残り4試合、消化試合と言われても仕方がないが今日のように魂を突き動かす試合を見せてほしい。

 一人ひとりが熱い思いをもって試合に臨むこと、それをグラウンドで表現すること、 今のチームに残された時間は決して多くない。色んなことが起こった2021シーズン、最後までできるだけたくさんの笑顔を見たいものだ。

(yuya)