ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

運命のドラフト会議直前! ドラゴンズ指名予測座談会

 いよいよ間近に迫ったドラフト会議。今年はどんなドラマが待っているのか。11日の夕方が待ち遠しくて仕方ないという方もたくさんおられることだろう。

 今年のドラフトの特徴は、一言でいうならば「予測困難」。一昨年の奥川恭伸、佐々木朗希や、昨年の早川隆久、佐藤輝明のような複数競合が確実視される “目玉” といわれる存在が見当たらないのがその理由だ。

 しかし言い換えれば、それだけ各球団の駆け引き、謀略が楽しめるということでもある。過去3年はいずれも会議前に指名公言をおこなった我らがドラゴンズも、今年は具体名はおろか野手に行くのか、投手を指名するのかさえも不透明な状況だ。

 これは予想のしがいがあるぞ! というわけで、いつもの4名(木俣はようやっとる、一輝さん、ユウヤさん、山田さん)で集まってあれやこれやと座談会を開催したので、今回はその一部始終をご覧いただこう。

 

ドラ1理想プラン

木俣「はい、本日の議題はドラフト会議なわけですが、正直監督の去就も決まっていない段階で球団方針を予測するのは至難の業でして。メディアで出てくる米村さん(明=チーフスカウト)のコメントから推察するしかないわけですが。そのコメントも今ひとつ一貫性がなく、本心が全く見えてこない」

山田「高校生投手の線も完全には否定できないですからね。むしろ米村さんは本音としては高校生を獲りたいのかな? という雰囲気さえ出してます」

 

※米村スカウトの葛藤については「現場・編成部・親会社」という3つの視点でそれぞれのニーズを詳しく分析したロバートさんの記事がとても分かりやすいので、こちらをご参考ください。

plus.chunichi.co.jp

 

ユウヤ「大学生の野手を褒めたり褒めんかったり……煙に巻いてますよね」

木俣「とりあえず純粋に予想するのは難しそうなので、各々の “オレならこの選手を1位指名する!” という理想のドラ1プランを披露して頂こうと思います。ではまずユウヤさんから」

ユウヤ「左の先発投手が欲しいという中で何人か名前が挙がってきますが、個人的にはJR東日本の山田龍聖です。バッターにとってパワーが正義なら、投手にとってはスピードが正義だと思うんです。その中でも、真っすぐのスピードもそうだし、球の勢いも、他の大卒、社会人候補のなかでも個人的には抜けてるのかなと感じました」

一輝「ただ山田はこの夏から秋にかけて赤丸急上昇中でして、一本釣りするつもりが競合してしまうという恐れもあります」

木俣「なるほど。そのあたりは腹の探り合いですね。目玉がいないからこそ、一本釣り狙いが裏目に出るのは一番避けたい展開ですね。では続いて山田さん」

山田「中日のニーズに合うかどうかは度外視して、個人的に一番欲しいのは達孝太(天理高)ですね。純粋に夢を見たい。デカく育ったら一番面白いだろうなと思うのが達。しかも3月27日生まれで実質1学年下です。ただし時間はかかるし、来年はまず一軍ムリでしょう。ただモノになったときは高橋宏斗を超えられるスケール感があります。まあ、ファンからすれば高校生の右投手はお腹いっぱいという感じですので、仮にドラゴンズが達を1位指名したら間違いなくネットは荒れると思いますが(笑)。現実的にはやはり佐藤隼輔(筑波大)ですかね。じゃあ次、一輝さん」

 

bunshun.jp

一輝「はい。僕は『文春野球』(上記リンク)のドラフト鼎談で佐藤隼輔を1位に挙げてまして。ただ状況もあれからもう少し、ちょこちょこと見えてきた中で、ブライト健太(上武大)が1位でもいいんじゃない? と思い始めてます。今年の野手は正木智也(慶應義塾大)鵜飼航丞(駒澤大)、そしてブライトの3人が高い評価を受ける中で、脚力、守備を含めた総合力で考えると、唯一センターを守れるブライトという結論に至りました。スター性もありますし、そして何よりおそらく一本釣りできる。野手を1位指名するのはドラゴンズだけだと思いますので」

木俣「“状況が見えてきた” というのは具体的には?」

一輝「体の状態(9月11日の試合で右脇腹の肉離れにより負傷降板)もあるし、今年はとにかく大卒・社会人のサウスポーに逸材が多く、希少性はやや低くなります。ですので12球団最低レベルの打線という補強ポイントから言って、喉から手が出るほど欲しいのはブライトの方かなと。それと、もし新監督を迎えるのであれば、ご祝儀という形で “映える” のは佐藤よりブライトだとも思います。では最後に木俣さんお願いします」

木俣「はい。自分はその佐藤隼輔がやっぱり今年のナンバーワン投手で、中日の指名もあると思ってます。ただ怪我の状態もありますし、米村スカウトがわざわざ『練習できていないと報告を受けている』とネガティブな見立てをしてるのが引っ掛かります。普通、スカウトはドラフト候補を手放しで褒めますから。敢えてそう言ってかく乱してるのかな? というのは邪推ですかね。それと怪我持ちの有力投手をドラ1で獲るのは、落合英二、吉見一起、そして大野雄大と実績もあります。ある種の伝統。即戦力で計算できないのはネックですが」

一輝「佐藤は来年出てきたとしても秋口で、それも最初はショートリリーフからのデビューになる可能性が高いですね。果たしてドラゴンズにそこまで待つ余裕があるのかどうか」

 

 ここでもやはり「投手」と「野手」で意見が一致することはなかった。喫緊でチームが欲しているのは間違いなく野手の方だが、米村スカウトの「僕は打者より投手が優秀だと思っている」「今年の打者は確信が持てない」との発言が予測を難しくしている面は否めない。陽動作戦だとすれば大したものだ。

 また現時点で指名が濃厚視されるブライトも、やはり気がかりなのは実績の乏しさだ。上武大ではまともに試合に出場し始めたのが4年春で、ここでの目を見張るような活躍 “だけ” で評価が急上昇した背景がある。中でも全日本の初戦、西日本工大・隅田知一郎から放った一発は効果絶大だった、と一輝氏は語る。

「他の打者が誰も打てなかった隅田から、ブライトが外角をしばいて左中間に叩き込み、そのソロ1点で勝った。何ならあのインパクトだけで評価が決まったといっても過言ではありません」

 

好素材ひしめく大卒・社会人投手

 では、2位以下の注目選手はどうか。各自の意見を聞いていこう。

一輝「1位でブライトを指名した場合、2位は即戦力の投手。桐敷拓馬(新潟医療福祉大)、もしくは鈴木勇斗(創価大)黒原拓未(関西学院大)あたりを獲れたら御の字かな。上位指名が予想される椋木蓮(東北福祉大)は、同校出身の佐藤優とイメージが被ります。先発でもリリーフでも投げられるパワーピッチャーという点で」

山田「中日が好きそうなのは赤星優志(日本大)。派手さはないですけどいい感じにまとまってる。どの球種もピッチトンネルを活かせてるので、きっちり誤魔化せます。それでいて出力も上がってきていて、全方向に球種を持ってるのもいい!」

木俣「文春野球の予想では4位赤星になってますね」

一輝「ヤフコメとかでは "赤星は4位まで残ってない" っていうご指摘も頂いてまして、まあそうだよねという感想です。そのくらい評価が急上昇しています」

山田「あと右で気になるのは日本通運の柴田大地。めちゃくちゃ球が速い(MAX156km)。日本体育大出身なので、中日物件とも言えます。コーチに辻孟彦さんがいて、昨年ドラ2の森博人、スカウト部の長・中田宗男アドバイザーも同校OBです。大学時代は松本航、吉田大喜らの陰に隠れていましたが、社会人になって急激に伸びてきた投手です」

ユウヤ「ただ、時代が変わっちゃった。昔は150km投げられればそれだけでドラフト上位候補だったのが、150km投げることプラスアルファが必要になってきてます。いわば履歴書に書く資格欄の普通免許や漢字検定みたいなもので、スピード自慢では差が付かなくなってますので、直球ゴリ押しタイプの柴田はちょっと不安かな」

 

阪口はロマン枠! 野手について

木俣「個人的な推しは中村健人(トヨタ自動車)です。安定のトヨタで4番を張る選手。10月2日の都市対抗東海2次予選では試合を決める満塁弾を打ち、本選出場の切符を掴み取りました。ちなみにこの試合を視察したのが中田アドバイザーと、近藤真市スカウト。社会人の野手をどこかで一人獲るなら、中村で堅いんじゃないかと見ています」

山田「中村は守れるのも大きい。来年すぐ一軍で通用するとなると、ブライトよりも中村の方が可能性あると思います」

一輝「即戦力といえば、正木はキレイなホームランが打てるアーティスト。バンテリンドームのフェンスでも越える打球が打てます。ただし確実性に欠け、そのうえ守備力は期待できないので、 "若い福田" だと思った方がいいです」

ユウヤ富士大の山城響も指標はすばらしいですが、中日はポジションの兼ね合いでちょっと難しいかな。二塁手兼遊撃手は若手にひしめき合ってますので、どうしても優先順位は低くなりますね」

木俣「高校生に目を向けると、阪口樂(岐阜第一高)も忘れちゃならんですよね」

一輝「阪口、前川右京(智弁和歌山高)田村俊介(愛工大名電高)の誰かは獲りに行きそうですよね」

ユウヤ「上位で獲るなら阪口でしょ」

山田「そうですね。ただ振れ幅が一番デカいのも阪口だと思います。村上宗隆に化けるかもしれないし、瀬間仲ノルベルトかもしれない。ロマンです、ロマン」

一輝「その点、僕は前川が一番バランス取れてると思いますね。本人も中日ファンを公言していて、お互い幸せかなって」

木俣「過去にイチロー、栗林良吏を逃した例があるので……。ファンと言って頂ける選手はできるだけ獲りたいですね(笑)」

一輝「石橋康太の下の世代の捕手もそろそろ補充したいということで、地元の高木翔斗(県岐阜商高)、あと中川勇斗(京都国際高)といったところも面白い逸材です」

 

話題の青ゴジラは果たして!?

木俣「近ごろ巷を騒がせている青ゴジラ・安田悠馬(愛知大)はどんなもんですか」

一輝「出た、安田! 東海テレビや中日スポーツがニュースにしたのもあって、最近視察のスカウトがどんどん増えてますよね」

山田「ドラフト情勢を知ることができるのはありがたいですが、願わくば波風立てずに指名したいところ。情報を出すのは本当はやめて欲しい! せっかく密かに狙ってたのに……。夏までは育成指名レベルだと言われていたのが、秋になって打ちまくり、本指名レベルに評価が変わりました」

一輝「でも騒がれるのはバッティングばかりで、キャッチャーのことは全然話題にならないんですよ。肩が強いとは言われてますが、二塁スローイングの映像もほとんど無い」

木俣「ホームランの豪快さと、ゴジラ似のルックスで中スポ一面を取ってしまいましたが、無理してまで獲りに行くのはちょっと怖い気もしますね」

 

 多くの候補選手の名前が挙がった今回の座談会だが、ユウヤ氏は「あくまでドラフトは手段の一つ」だと言い切る。

「チーム状態、とりわけ野手があまりにも悪いので、どうしてもファンは今年の牧秀悟や佐藤輝明のように、ドラフト候補選手に救世主の役割を求めたくなる。ただ彼らのような選手はそうは簡単に出てこないので、たとえばブライトに来年レギュラーでバリバリ活躍する姿を期待しても、それは正直難しいでしょう。もし来年すぐに優勝争いしたいのであれば、即効性のある補強も並行して行うべきで、そういう意味ではドラフトも大事ですが、それと同じかそれ以上にトレードや外国人補強に尽力するべきだと思います。特に前者はもっと積極的に、それこそ強みである投手陣の中から主戦級を放出してでも、他球団の打者を獲りに行く果敢さが欲しいし、また強くなるためにはそのくらいドライな姿勢も必要だと思います」

 過度な期待は禁物。しかし、それでも新しい顔ぶれを見るとワクワクするのが人の情というものだ。果たして上に挙げた選手のうち、何人がドラゴンズのユニフォームを着ることになるのか。運命のドラフト会議は、11日17時から!