ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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飄々とエモーション

○4-2DeNA(22回戦)

 DeNAとの敵地シリーズGame 2は逆転勝ち。2点を追う8回にアリエル・マルティネスの代打ホームランで1点差とすると、9回には相手リリーフ陣を攻めて一挙3点を奪った。この勝利で単独最下位転落、CS完全消滅は逃れ、11日のドラフト会議を5位の状態で迎えることになった。

又吉、今月初めてのマウンドへ

 京田陽太の打球で二人の走者が生還した瞬間、又吉克樹に勝利投手の権利が転がってきた。直前の8回裏にマウンドへ登った背番号16は、9月30日以来の登板。意外にも今月に入って初の出場機会だった。

 最初に対峙したのは、4番に入るルーキー・牧秀悟。初球、2球目はいずれも外角低めに外れて2ボール0ストライク。その後ファウルを打たせてカウントを整えるも、6球目の146キロをライト前へ弾き返された。

 やはり登板間隔が空くと、百戦錬磨の右腕でも難しいのか――。そう思った矢先に、次打者の宮﨑敏郎を1-6-3の併殺打に仕留めていた。カットボールを2球続けて並行カウントにし、3球目の外角スライダーでバットを出させた。

 鈍いゴロの2バウンド目がちょうど眼前で転がるも、又吉は難なく処理。素早く二塁へ転送してゲッツーを完成させる、見事なフィールディングだった。このあたりは高校時代に二塁手だった名残も感じられた。

 続く大和を空振り三振に斬って取り、又吉は結果3人でイニングを終わらせた。アリエルの追撃弾でつくった流れをそのままに、9回の攻撃に機運を高めるナイスリリーフだった。

 とはいえ、コメントを求められたら「牧の入り方を反省したいです」と恒例の “反省” をする。その意識の高さが又吉らしい。

FA権取得のシーズンオフ、どうなる?

 今季は国内FA権を取得し、ひとつの節目を迎えている又吉。取得時にはこんなコメントを残している。

「個人のFAというより、独立リーグがあって今の自分があるので感謝している」
「目の前の事を丁寧にやり続けて、オフにどういう評価をもらえるか」

 独立リーグ出身者最高位の2位指名でプロ入り、そして上述の意識の高さを鑑みると、自らを含めた独立リーガーの地位向上には人一倍関心があるように伺える。となると、オフにどういう判断を下すのか想像するに……残留するにしても、権利を行使するにしても、大幅な年俸増を望むのは間違いない。

 現状の又吉の推定年俸は、ドラゴンズの日本人選手で上から12番目とされる。すなわち、補償のいらない「Cランク」相当。これが事実なら大争奪戦が繰り広げられるだろう。先発・リリーフを高い次元でこなせる30歳のサイド右腕をほしがらない球団はない。

 まだ試合が残っているとはいえ、先のことに思いを馳せないといけないのは寂しい。ひとつ言えるのは、又吉にとっても球団にとっても幸せなオフが訪れることを願うばかりだ。(ikki)

選手コメント引用:「中日スポーツ」
参考:「2021プロ野球写真&データ選手名鑑」(日本スポーツ企画出版社)