ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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さまよえる蒼い弾丸

●1-9DeNA(19回戦)

 敵地でのDeNA戦Game 1は大敗。今月2度目の9連戦は連敗スタートとなった。

極上のエンタメと「なりえる」素質

 ジャリエル・ロドリゲスは、極上のエンターテイメントになりえる投球の素質を持つ。あくまで極上に「なりえる」なので、今は発展途上。毎回ハラハラする、という意味ではエンタメの一種なのかもしれない。

 常時150km/h超を計測かつ不規則に動く速球、縦変化の大きいスライダーは、ドラゴンズ投手陣の中でもトップクラスの質を誇る。状況に応じてオーバースロー、サイドスローを投げ分ける投球術もなかなかのものだ。

 ただ、気性の荒さが現れるのが玉に瑕。乱調癖もあるため、一度崩れると立て直しが効かない。入団当初からその傾向が続いており、なかなか進歩の跡が見られない。今季は9月18日現在で、6度の先発登板中QS達成は1度のみ。直近5試合は6回持たずに降板が続いている。

またも初回に大量失点

 迎えた7度目の先発は、自身初の横浜スタジアムのマウンド。後半戦の全登板で組んできた同胞のアリエル・マルティネスではなく、主戦格の木下拓哉と約3ヶ月ぶりのバッテリーだ。

 もしかしたら、潮目が変わる――? そう思った矢先、桑原将志に先頭打者ホームランを喰らった。149km/hでストライクを取った後、2球目の緩いカーブをうまく捉えられた。これだけならまだ大丈夫、と言い聞かせるも、あれよあれよの4失点。再び湿りがちの打線を考えると、重くのしかかる初回のビハインドである。

 2回以降のジャリエルは、時折ピンチを招きながらも、5回までゼロに抑える粘投。2~4回の3イニングで7個の三振を奪うなど、一定の持ち味を発揮した。それだけに初回の投球が悔やまれる。

 ちなみに、先発時の20失点中10失点が初回でのもの。立ち上がりの課題は今回も解決されなかった。今日の投球を見ていると、初回は「155km/hを投げるフォームで150km/hを投げている」、2回以降は「145km/hのフォームで150km/hを投げている」ように感じた。

 力みかえって思ったよりベース板でボールが来ないのが前者で、案の定ファーストストライクから相手にガンガン振られた。2回以降はゆったりとしたフォームから、8~9割程度の力感でボールを放り、打者は差し込まれる反応が多く見られた。これでひとつ、感覚を掴んでくれていればいいのだが。

球団はすでに残留を要請

 球団によると、すでにジャリエルをはじめキューバ選手3名の残留要請を行ったそうだ。不動の守護神ライデル・マルティネス、強打の捕手アリエルは、今のドラゴンズに不可欠。ジャリエルは2人とは少し立ち位置が異なり、先行したポテンシャルに賭けてくれていると見る。

 一部報道で、新たに同胞の若手有望株をリストアップ、その中でも22歳の右腕フランク・アベル・アルバレスは獲得濃厚と伝えられている。ジャリエルも、いつまでも同じ過ちを犯していては、他の選手に取って代わられる可能性だってなくはない。

 それでも、日本で過ごした2年間で進歩していることもあるだろう。同世代の同胞たちや頼りのビシエド兄貴に励まされたり、レジェンド・リナレス巡回コーチの叱咤激励を受けたりしたこともあっただろう。その全てを糧に、竜が誇るポテンシャルお化けの覚醒した姿を心待ちにする。(ikki)