ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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時を戻そう

○10-1 広島(21回戦)

 9連戦の8連戦目。打線が繋がり5連勝。これほどゲームに内容がある試合ともなると、何を書いて良いのか逆に困ってしまうという嬉しい悲鳴が心の中であがっている。

光る松葉の好投

 このブログでも何度かスポットライトが当たっている、昨年7月の松葉貴大の初登板。ボロボロだった投手陣が一気に立て直すキッカケを作った、8年ぶりAクラスの影の立役者だ。今年は開幕からローテーション入りを果たしたが、3巡目に捕まるという悪い意味で昨年と変わらないピッチングが続き交流戦前に二軍調整となった。

 そして1ヶ月余りの二軍生活を経て戻ってきた松葉は……相変わらず3巡目に捕まっていた。だが、開幕直後と違うのは序盤、1巡目に対しての安定感だ。多彩な球種を低めに集め、勝利投手の権利を手に入れられる5イニングまではほぼ確実に投げられるようになった。

 今日も4回の失点シーンを振り返ると、ヒットを打たれたボールは確かに甘かった。だが、それ以外はしっかりコーナーを突いたピッチングができており、その後も鬼門とされていた6回は中軸相手にあっさりと三者凡退でベンチに戻ってきた。

 長いイニングの投球は望めないものの、投手戦に持ち込んで自慢のブルペン陣が最少リードを守り抜くという今年の勝ちパターンの中に松葉も入り込み、一軍復帰後これで4勝目となった。このまま中6日で火曜日に投げ続けるとすると、全てホームでの試合となる。ここに来て安定感が増したことで首脳陣は松葉により一層の期待をかけたいことだろう。

足が動けている

 20日で19試合を戦うというハードな連戦は、前回リーグ優勝した2011年の9月後半~10月中盤にかけて以来。このときは6連戦→休み→13連戦という内容だったが、今回は9連戦→休み→10連戦に加え、次の10連戦は土日祝日が絡み合いデーゲームとナイトゲーム、移動からの試合を繰り返す日程にもぶつかるため、当時よりも体力的には厳しくなるだろう。

 加えて2011年の19試合は時の落合博満監督が解任されてからのブーストというものがあった。結果として19試合の内訳は12勝5敗2分と7つの貯金を作り優勝を手繰り寄せた。東京ドームの3連戦3連敗があったものの、それ以前の16試合で12勝2敗2分、勝率は.857という今でも信じられない数字だ。

 そんな連日の激戦の中、常に監督のコメントは勝っても負けても「足が動けている」だった。実際のところは疲れが見える選手たちに暗示をかけるように繰り返し発言していたようだが、10年の時を経て今しみじみとこの言葉を思い出す。状況は違うものの、9連戦の8連戦目を戦う選手たちの足は非常に動けていたと思う。

 今日だけでも先制の場面、木下拓哉が放った当たりで一塁ランナーの渡辺勝が一気にホームへと駆け抜けた走塁、リードオフマンの京田陽太が相手捕手の小さな捕球ミスから二塁へ向かったシーン、アウトにはなったものの堂上直倫の三塁へ向かった場面など、常に貪欲に次へ、次へと進塁しようとするその姿が印象的だ。そしてこの貪欲な姿勢は9連戦に入ってから良く見られるようになった。
 ゼロ行進が続く中、一振りで試合を決めた試合、一発攻勢で勝ちをもぎ取った試合、最少得点の1点をピッチャーが守り抜いた試合、そして今日のように集中打で得点を重ねた試合……勝ち試合のパターンも増えてきている上に先発投手陣は安定を続けている。

 チームの歯車が噛み合っている今こそ勝ちを積み重ねられる大事な期間だ。過去にない連戦を戦うチームの底力が試されるが、この長期連戦こそが今のチーム順位を押し上げようとする原動力となっているようにも感じる。

 昨年を思い返しても9月中盤からの快進撃が借金返済から貯金生活、そしてAクラスへと繋がっただけに、今年も同じような展開を期待せずにはいられない。昨年の勝ち進んだ時期に、そして優勝を飾った時期に時を戻そう。
 ただし好事魔多し。昨年は時同じくして主力が続々と故障離脱しているだけに、同じ轍を踏まないことを祈るばかりだ。

(yuya)