ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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Guns N’ Diamond

○10-1巨人(21回戦)

 9連戦の4試合目、巨人とのシリーズGame 1は快勝。打線は今季初の2ケタ得点、1試合4本塁打をマーク。京田陽太が2ホーマー、ルーキー土田龍空はプロ初打点となる2点タイムリー二塁打とお祭り状態だ。投手陣もソロアーチの1失点に抑え、シーズンベストゲームのひとつと言えよう。

アンニュイな苦笑い

 芸術点の高い跪き(ひざまずき)だった。

 ドラゴンズ3点リードの4回裏、先発・大野雄大が岡本和真に36号ソロを浴びた。渾身の直球を捉えられた瞬間、右膝から崩れ落ちて跪く姿はショッキングなものだった。一方で、あまりにも綺麗な崩れっぷりに心なしかスッキリもした。

 立ち上がりから、大野の直球は威力抜群だった。スピードガンもいつもより数キロ速い148km/hを何度も計測し、巨人打線を押しに押した。件の岡本に対しては、第1打席でインハイを振らせて三振に。本塁打を浴びたのは、続く第2打席でのことだった。

 岡本が二塁ベースを回る頃まで、大野は跪いたまま。立ち上がっても薄ら笑みにも見えるアンニュイな表情を浮かべ、時が過ぎるのを待つよう。『日テレジータス』で解説を務める山本昌さんが「ちょっと勝負に酔いましたよね」と評論するのも分かる。

意図的な苦笑い

 並の投手なら、ここから “本当に” 崩れてKOされるのだろう。ただ、そこは昨季の沢村賞投手。被弾後は見事なリカバリーを披露した。

 当たっていない中田翔をきっちり右飛に抑えて1アウト。丸佳浩の打球に素早く反応し背面グラブで方向を変え、堂上直倫の処理をアシスト。ウィーラーを空振り三振に仕留め3アウト目を取った頃には、もう何の心配もいらなかった。

 ベンチに帰る時、再び大野は苦笑いを浮かべていた。でもこれは感情をコントロールできずに表出したアンニュイな表情ではなく、「やっちまったなぁ~」と前向きに振り返る “意図的な” 苦笑い。試合を俯瞰して投げられるエースの姿に戻っていた。ソロを打たれてもまだリードしているのだ。

負けっぱなしじゃ終われない

 この後、時折ギアを緩めながら7回まで1失点に抑えた大野。序盤かさみ気味だった球数は109球に収束。先の広島3連戦で登板過多だったブルペン陣の負担も少なくし、求められるミッションを十分にこなした。欲を言えばもう1イニング、完投も視野に入れてほしかったが、まだまだ戦いは続くので問題ないだろう。

 今日の白星でシーズン通算6勝8敗。まだ2つの負け越しがある。残り登板はおそらく5~6試合。勝ち越し、そして2ケタ勝利の可能性だって残っている。エースたるもの、やはり負けっぱなしじゃ終われない。(ikki)